1週間が締めくくりとなるところで、物語の諸事情が明らかになってくる。
ブギウギは最近の朝ドラの中ではダントツの人気らしい。
理由が何なのかよくわかった気がする。
行間の感情表現の巧みさ。
15分しかない時間枠の中で、どれだけの物語を語れるのか。
昨日のエピソードから初めて登場した愛助の母村山トミ。
小雪が演じる強烈なキャラクターが他を圧倒する。
眉間にうっすらとシワが寄ったいかにも不機嫌そうな様子なのに、決して感情を爆発させない。
世の中で、これほどの説得力が他にあるのかなと。
そしてスズ子と愛助の2人の関係はついに確かなものとなる。
今日の物語の中で初めて描かれたスズ子と愛助のキスシーン。
朝ドラではなかなかお目にかかれないシーンではあるが、この物語なら説得力を持って伝わってくる。
物語の進行スピードも申し分なくてきぱきと早い。
登場人物への気持ちの入れようが絶妙な加減で伝わってくるのだ。
燃え上がる2人の心に、決定的な拒否の姿勢を示したトミ。
愛助は村山興業の跡取りだす。
このことを重々ご理解ください。
たったこれだけのセリフだよ。
これで話は終わったと。
そこには村山トミが福来スズ子を正しく評価して実力と人となりをきちんと認めた上で、反対の意思表示。
話のいきさつをいまひとつ理解していない愛助と全てを悟ったスズ子。
燃え上がった2人の心とは裏腹に、お互いの立ち位置には微妙な距離感が。
目次
他を圧倒する村山トミ
凄腕の経営者と言う設定なので、おそらく感情を表に出さないことが当たり前なんだろう。
しかし、彼女の一つ一つの言葉には驚くほどの重みがあって、他者を圧倒している様子が伝わってくる。
あの坂口が怯えている様子が滑稽なようでいて、しかし真剣さも同時に伝わってくるので、ストーリーの信憑性はピークに感じられる。
社長の機嫌が悪い事はすぐにわかる。
眉間にうっすらとシワが寄っているのは明らかに怒っている証拠。
その上で言葉少なに的確に指示を出す。
説明して相手が理解できないとわかれば、すぐに次の手を打つ。
坂口はそんな社長のやり方を恐ろしいとさえ感じているので、自分が不始末をやらかしたなら、その責任はとても重いことを重々承知しているようだ。
過去に自分の仲間たちがそういった失敗をした後、どんな風な目にあったかがなんとなく想像できると言うもの。
トミは凄腕の興業主。
母親の前の愛助
愛助は母親の前では子供の頃とまるで反応は違っていないのかもしれない。
自分の意見を必死に力説するところは、子供が駄々をこねて何かを欲しがっているのに等しい。
母親の反応は驚くほど沈着冷静。
愛助が言うことを聞かないと知ると次に要求するのはスズ子に直接合わせろと。
息子がそこまでご執心な女がどれほどのものなのか、自分の目で確かめるってことだよね。
本当の姿を見せない人は、ある意味怖いとさえ思う。
自分の考えを表情に出さず、言葉少なっていうのが1番不気味に感じるかも。
トミがまさにそれだと思う。
スズ子とトミ
ストーリー展開を見ていて感じたのは
トミが既に様々な手を使ってスズ子に関する1連の下調べをきちんと済ませていたこと。
その上で直接本人に会ってどのような人物なのかをしっかりと値踏みする。
トミのスズ子に対する評価は申し分のないものだった。
それは歌手としての面だけ。
愛助の嫁さんにはふさわしくない。
2人のやりとりからトミのスズ子に対する気持ちはきちんと表現されていた。
事情をお察しください。
別れろとも結婚を許さないとも一切語っていないが母親として許すわけにはいかないと言う毅然とした意思表示がなされていたわけで。
そしてスズ子以外の周りのものがあっけにとられている中で“話は終わり”とピシャリ。
スズ子だけが母親のメッセージをしっかりと受け止めていた。
やはり村山トミ恐るべし。
愛助とスズ子❤️
物語の後半の方にも見所満載。
羽鳥善一の自宅に呼ばれたスズ子とりつ子。
どうやら善一は陸軍所属の派遣として上海に赴くらしい。
様々な音楽家が集まるとのことで楽しみにしている様子。
スズ子は近況報告をしたものの、楽団員を食べさせるために仕事が欲しいと。
この場面でのりつ子の発言は明らかに淡谷のり子の自伝を参考にしている。
淡谷は学費を稼ぐために、画家相手のヌードモデルをしていたそうな。
自分の目的を達成させるためには、手段を選ばないのが淡谷のり子の真骨頂。
大変な苦労をしたのも本人の口から語った映像などが今でもあちこちに残っているので間違いのない事実なんだろう。
物語の中ではかなり面白おかしいシーンとして描かれていた。
さて今日の最後で起こった事件は愛助の喀血。
予告編もあったので、事情は察するが手の施しようのない結核だという。
この時代の結核は特効薬がまだできていなかったので死亡率も高かったと思う。
大抵の場合、その人の持っている免疫力にもよるが、喀血するするような患者が助かる事は稀だったと。
物語は衝撃とともに来週に持ち越される。