始まったばかりの物語は、目標地点のはっきりしないままどんどん進む。
寅子は持ち前の好奇心と、物事をはっきりすぐ口に出してしまう癖のせいか、お見合い話もいまひとつまとまることがなく。
昭和6年、19歳の寅子は両親が嫁ぎ先を決めようと躍起になっていたが。
親の気持ちとは裏腹に、寅子は結婚が女性の幸せだと信じてない。
寅子にしてみれば腑に落ちないってことらしい。
寅子の兄は友達の花江と婚約中らしい。
物語は婚約中の兄達の様子とお見合いがうまくいかない寅子の胸の内が対比される形で描かれる。
本当はユーモアたっぷりで笑い所満載のはずだが、物語がやや重く感じてしまうのは気のせいだろうか。
ストーリーが展開していく中で明らかになっていくことも多いので、少しずつ辻褄が合っていくような。
寅子の家は銀行に勤める父親が一家の大黒柱。
そこに母親がいて結婚間近の長男、さらには歳の離れた弟がいる。
物語は寅子の友達花江の両親や花江の家のお手伝いさんも巻き込んで進んでいく。
忘れてはならないのが寅子の家に下宿している書生。
彼は司法試験を目指しているらしいが、なかなか合格しないとの事。
夜学に通いながら、ひたすら勉強の毎日。
今日のエピソードで、母親が留守でたまたま家事を預かっていた寅子が夜学に向かう彼に弁当を作り忘れたことが明日以降の展開のきっかけになるような。
あちこちで寅子の心の琴線に触れるような言葉が語られる。
目次
寅子のお見合い大作戦
この時代の年頃の女性は20歳前に結婚するのが当たり前だったようで。
結婚すれば家庭に入り子供を産んで育てる。
世の中の一般論としては、この時代の世相をよく表しているのかもしれない。
寅子はのことを納得できずにいるものだから、何かにつけて理屈っぽくうんちくを垂れたりする。
今ではかなり希薄になったが結婚は家同士の付き合いを意味する。
様々な物語を拝見するが、日本は先祖代々家同士の結びつきとして結婚を捉えてきた。
子孫を残して時代を紡いでいく。
そのことにいささかも疑問を抱かなかった我々日本人。
最近になって少子高齢化が叫ばれずいぶん問題提起されることが多いが、付け焼き刃の少子化対策など何の意味も持たないと今では誰もが知っていること。
寅子は時代を先取りする形で、結婚観に自ら問いかけていたのかもしれない。
兄直道と親友花江の結婚
寅子の場合とは対照的に描かれる親友の花江の結婚話。
彼女は何の疑問も抱かずに、女学校時代に結婚することが夢だったと屈託なく語る。
確かに私が子供の頃でも“女性が25歳過ぎても独身なら行き遅れ”なんて貶まれたりもしていた。
最近のご時世で言うなら、女性も男性も結婚は30歳過ぎてからのカップルが相当数にのぼるのでは。
従って初めて子供を産む年齢も30歳過ぎの場合がほとんど。
昔は30歳過ぎて子供がいないと不妊症のレッテルを貼られる場合もあったような。
今は40歳過ぎての初産なら多少は心配もされるだろうが、それほど問題にされる事は無い。
時代とは言え、ずいぶんと差を感じる。
結婚する両家の思惑
家同士の付き合いとなれば、それぞれ明るく朗らかに何事も穏便に済ませようとするのが人情と言うもの。
女性は特によその家庭に入ることを意味するので、そこの親たちに気に入られなければ何事も始まらない。
ドラマの中でもそんな様子が詳しく語られていたと思う。
猪爪家には書生も1人いて、彼は夜学に通っている。
始まったばかりの物語は、ストーリーの裾野を広げながら先へ進むことになる。
寅子の意外な出会い
たまたま母親が出かけたことで、家事を任せられた寅子だったが、うっかり書生の佐田くんの弁当を作るのを忘れてしまう。
後で届ける話になって大学まで1人弁当を持参で出かけることに。
そこで大学の授業に遭遇。
「女性は無能力者」の発言に激しく反応。
ここで講師に見つかってしまう。
実は今日のストーリー展開の中で、もう1人偉そうな人が登場していた。
その彼に促されるような流れになっていたと思う。
彼も若い頃から活躍している俳優だが、あちこちで見かける顔に。
今日はここまでの展開だったが、彼の一言で寅子はおそらく発言するんだろうと思う。
そしてその発言に対して、穂高が言葉を返すと言う流れではなかろうか?
そこから物語の方向性が少し見えてくるような。
寅子はゆくゆくは法曹界を目指す日本人初の女性になる。
その布石が今置かれたのかもしれない。