物語の方向性がはっきりしてきた虎に翼。
昨日の放送で裁判の傍聴の様子が描かれ、さらにそれを学校に持ち帰ったことで穂高博士から授業の提案をもらえることに。
当時の時代背景を考えれば、結婚した場合妻の財産人格など全て夫に帰属する形になる。
妻は法的に無能力者と規定されるが、この言葉のチョイスはかなりなインパクトを持っているのでは。
もちろん結婚した女性が何の能力も持たないという意味ではなく、夫の附属物として法律的に主張できるものは何もないという意味。
学校で、寅子は裁判傍聴の経緯を詳しく説明。
難しい案件なだけに、博士の答えも歯切れが悪い。
法廷に正解は無い
要するにその時の状況で如何様にも変化するのが判決例ということ。
裁判では検事や弁護士など様々な人たちの発言が大きく影響。
穂高博士は寅子の意見に対しみんなで妙案はないかと逆に問題提起。
寅子たち生徒は1つの判例をめぐってみんなで議論し、思案し合うことに。
とりわけ乗り気で全力投球していたのは寅子。
与えられた1週間の間に、それぞれが裁判事例に真剣に向き合うことになった。
物語を見ていて憎まれ役だったよねが周りの生徒達と交流することができている。
女性の立場で考えたなら、彼女たち皆が人ごととは思えなかったのでは?
結論に至るまでの1連の流れが今日の物語。
誰もが知りたい物語の結末は明日に持ち越された。
目次
穂高博士の提案
この物語の始まりは、女性の法律家への道を開くための法案が先送りにされたことに対する博士の生徒たちへの励まし。
法律家を目指す女性たちががっかりしないように背中を押してあげるのが目的だった。
寅子から出された裁判の判例は現行の法律の解釈ではかなり厳しい。
何の変哲もない民事訴訟の訴えでしかも法律上は夫に所有権があるので、妻側の訴えはほぼ却下されることが予想された。
しかし、前回の傍聴をした寅子は、妻の言い分にこそ正当性があるものと。
与えられた条件の中でどうすれば良いか、穂高博士は女性徒達みんなに問いかける。
みんなの意見を聞いてみたい。
博士sは、人が生きていく上でどのように法律を解釈していくべきかそれぞれ自分の問題として考えることが最上と思ったようだ。
生徒たちの思案
生徒たち全員に出された課題は、明らかに法律の解釈の枠を超えたもの。
妻が離婚調停では勝訴したもののかつての自分の持ち物を返してほしいとの訴え。
しかし離婚調停は夫側が控訴していることで、離婚が成立しているわけではない。
つまり未だに夫婦のままなわけで、返還請求そのものが無効とされる可能性大。
生徒たちは誰もが皆頭を悩ませ、自分の問題として考えようとしたが簡単に妙案が浮かぶはずもない。
過去の判例から学ぼうということで、みんなで甘味処にて相談
学校の図書館で話せば資料もたくさんあって良さそうだが、大声は出せない決まり。
確かに図書館は学校だろうが他の場所だろうが、基本声を出すこともはばかられる場合がほとんど。
場所を変えた事は賢明な判断だけど、ここで面白いなと思ったのはこのグループはどちらかと言えば話しにくい人たちの集まりのような感じ。
にもかかわらず1番みんなから煙たがられているよねも含めて数名が参加していること。
よねが席を別にしてもきちんとみんなと向き合っている。
どうしてもみんな妻側の言い分が受け入れられるか却下されるかの議論に終始するしかない。
法律上却下されて、当然の内容だからどんなに議論をしても厳しいものがあるんじゃなかろうか。
裁判傍聴は大勢で
普通このレベルの民事裁判では傍聴人がいない場合だって多いのだろう。
しかし、今回は教材として取り上げられた案件なので、生徒の主だったメンバーが参加。
1期生の久保田 中川も同席。
女子部法科全員で考える授業となった。
判決の行方を考察
裁判所ではいつもならありえないはずの傍聴席が大勢の女性たちで埋め尽くされている。
裁判長も驚きを隠せない。
物語を見ていてわかったけれど、この裁判長と穂高博士は知り合いの様子だった。
同じ法律家同士それぞれ面識があるんだろうと推察。
田中裁判長は今開いている裁判が明律大学女子部法科の授業の材料になっている事まではご存じないようだ。
さて、裁判所の判断が出るところで物語は終了してしまう。
裁判長は、法律の番人のような存在。
妻側の訴えを受け入れるとは到底思えない。
そうすれば判決は目に見えているのではと思っちゃうけど。
実は物語のこの作りを見ていて、ふと浮かんだ昔読んだ物語がある。
それは「ベニスの商人」
シェイクスピアの戯曲として伝わるがユダヤの高利貸しから金を借りた若者が事情があってお金を返すことができなくなってしまった。
金の貸し借りの取り決めの中で、返せない場合は、若者の肉1ポンドであがなえと。
契約なので動かしがたい事実ではあるが、その時の裁判官が肉1ポンドを切り取る事は許すが血を流しても良いとは決められていないので、一滴の血も流してはならぬと言い切った。
おそらくこんなエピソードに近いことが「虎に翼」でも描かれるような気がする。
裁判で訴えられている夫東田は物語の中ではかなりの悪者に描かれている。
その彼の絶対有利な状況で裁判は進むことに。
そこをひっくり返して誰もが納得できる妙案が明日描かれるのではと推察する。