くわちゃんの独り言

音楽や映画が大好きな爺さん。長年の経験から知りえたことを発信します。

北海道人から見る松浦武四郎の事

 

実はNHKの見逃しドラマがあって昨日やっと見ることができた。

北海道の名付け親とされる松浦武四郎の物語。

どんな物語かと興味津々で見たのだが、1時間半の枠で1話完結の物語。

短い時間の中で、しかも時代劇テイストで不思議なドラマという感想。

脚本があの有名な大石静さんでどんなものかと興味があったのも事実だが、史実に基づいているようないないような、不思議な作り。

チャンスがあればもう一度見て、どんな手法だったのかを確認してみてもいいかも。

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本人と劇中の主人公2人

目次

脚本大石静女史 

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テレビでよく見かけます 劇団を主催されてますね

大石静さんは 若い頃女優になりたくて文学座を受験したんだそう。

しかしうまいこといかずに青年座に変更。

彼女若い頃に結婚をしてご主人がいるようです。

若い頃から2度ほどガンと戦って厳しい闘病生活を送った過去が。

劇団に所属しながら自分なりの脚本を書いてみたいと本格的に勉強を始めてますね。

実は今でこそ、脚本家として売れっ子ですが、彼女の功績としては何人かの無名の俳優たちを発掘したことが挙げられます。

彼女はラブストーリーの名手と呼ばれますが、

  • 内野聖陽
  • 佐々木蔵之介
  • 堺雅人
  • 長谷川博己

これらの俳優たちは大石氏によって見出されたようで、今をときめく売れっ子たちですよね。

彼女は経歴を見てもラブストーリーを描くことにたけていると言えるでしょう。

“ふたりっこ”とか“セカンドバージン”とか彼女の作品。

調べてみてわかったのだが、時代劇の脚本も手がけているのがかなり本格的なイメージ。

時代劇は独特なセリフ回しがあるので、現代劇の人は慣れないと大変な部分があるかもとは思っていたが、 “功名が辻”では時代劇に挑戦している。

あらゆるテレビ番組を担当した経験を持つが、NHKとはやはり朝ドラのふたりっこが有名だろう。

今回のドラマも、時代劇テイストなのは見ていてわかったが、不思議な恋愛ドラマとも言えた。

松潤と深きょんの間柄はプラトニックではあるが間違いなく恋愛を想定した描かれ方。

実際の松浦武四郎がこのような経験をしていたとは思い難いが、このテレビドラマの中ではフィクションとしてこういったこともあったのかもと思わせるに充分な下調べがなされていた気がする。

時代劇を扱うときの大変なのは、とにかくしっかりとした調査をすること。

歴史の1ページに自分流の物語を構築しなければならないのだ。

史実に基づきつつも自分の作るフィクションの世界をいかにして表現するか。

難しくもあり面白くもあるのだろう。

このドラマの仕上がりとしては一般的なテレビのドラマの域を超えるものではなかったが、歴史的なことを勉強する意味では参考になると言える。

北海道に住むものなら、松浦武四郎の名前を知らないのは恥ずかしいかも。

北海道の名付け親で、しかも北海道の地名をアイヌ語から漢字に引き落とした作業でも知られる。

北海道では10,000個近い地名があるが、すべてアイヌ語から来たと聞いている。

あの当時(明治維新の前後) わざわざ北海道まで来て内地の調査を行った。

道案内には当然のことながらアイヌの人たちを頼み、そこで交流があったと聞いている。

彼が首から下げている首飾りもアイヌの人たちから送られたものと聞く。

しかし、ドラマの中でも語られていたが、アイヌ人と明治以降入っていった和人とのあいだには実は不幸な歴史がたくさん存在した。

ドラマはそのことについても語っていた。

北海道に住む者ならば本来知っておかなければならないことと思うのだが、一体どれぐらいの人が認識しているのか。

松浦武四郎が見た蝦夷地の実情

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今で言うベストセラー作家だった

 江戸時代末期、三重県出身の彼は冒険家であり、文筆家であり、その上幕府の役人も務めていたことがある。明治維新以降も明治政府の役人となっていた。

それらは皆、彼が北海道に渡って事細かに状況を調査し、そのことを書籍として広く世の中に発表していたから。

様々な北海道の各地においてそこでの主な出来事をはじめ、由来などを本にまとめていた。

発行したものは大体はベストセラーになったようだったが、1部のものは人心を惑わすとして発刊停止となっていたのもあるようだ。

幕府の時も、明治政府の時も、武四郎の調査したものをもとに北海道を傘下に入れようとしていたようだ。

実は、武四郎が見た北海道は、そこに住む人 つまりアイヌ人たちの住んでいる所と認識していたようだ。

ドラマの中で語られていたのはアイヌ人と和人との間にあった不幸な関係。

北海道に渡った和人はアイヌのとりわけ男性中心に捕まえ、奴隷のように扱って搾取し続けた。

命を落とすものも多かったと聞く。

純朴なアイヌの人たちは和人の脅迫とも言えるやり方に、口答えをすることもなくしぶしぶ従っていたようなのだ。

また女性に対しても卑劣な行為が繰り返されたと聞く。

年頃の女性たちは和人の元へ世話係として徴収されたのである。

連れていかれた場合、性的な暴行を受けることもあったようだ。

北海道は寒いので湯たんぽがわりに女性を抱いたなどと言うとんでもない報告も聞こえてくる。

このような搾取と暴力の歴史が繰り返され、アイヌの人々は皆和人を憎むように。

和人を自分たちの友人として迎え入れたのはごくわずかな1部に限られる。

そのわずかな1人が武四郎だったようだ。

武四郎は松前藩と出入りの商人たちの悪らつ非道な振る舞いを幕府に陳情したが、揉み消されたようだ。

当時のことを伝える逸話としてアイヌ勘定なるものがあったようだ。

アイヌ人と和人の間では交易がなされたが、その間でやりとりされる数の勘定はあからさまなごまかしがあって、不当に搾取することが普通にまかり通っていたようだ。

特に、ドラマとは関係なく私が調べた範囲では、女性に対する和人の暴行は常軌を逸している。

よく言われる、アメリカの奴隷解放とかヨーロッパでも盛んに人権蹂躙の歴史が語られるが、それと似たようなことが行われていたようだ。

ちなみに幕府側はこれらの事実を黙認したが、明治政府も右にならえで黙認した。

およそ明治から昭和にかけても、アイヌの人たちにきちんとした政治的な手当てがされ始めたのはごく最近のことではないだろうか。

アイヌ人たちへの人種差別は間違いなく存在していたし、その負の遺産はアイヌの人たちの心の中にしっかり残っていると言える。

はるか昔のことだが、小学校の修学旅行の時に、阿寒湖付近の温泉で一泊したのだが、うっかり間違ってお土産品を作る店の裏手の作業場に紛れ込んでしまったことがある。

そこには数名のアイヌの人たちが作業をしていたのだがあの敵意のこもったまなざしは未だに忘れられない。

その時は歴史的な状況など全く知らずに、たまたま入り込んでしまったのだが、後からその向けられたまなざしの意味を知ることになる。

さて、松浦武四郎は42歳で結婚をしているが、その頃、明治政府から退官したようだ。

彼は、今風に言うならば旅行を中心としたブロガーだろうか。

あちこち旅行して歩いて当時のやり方でブログとしてアップして回ったようだ。

その彼の若い頃の業績が北海道に関わる様々な仕事。

やはり北海道の名付け親であること、様々な地名を決めていったことなどが挙げられるだろう。

アイヌの人たちは武四郎のいた頃、全道で約2万人いたとされる。

現在の北海道のアイヌの人たちの人口も2万人とされている。

よく言われているアイヌの人口が減っているうんぬんは、きちんとしたデータを検証してみると増減はあまりしていないようだ。

ただし、アイヌの人たちは土地を所有する概念を持ち合わせていなかったし、基本文字も持たずに口述で様々な物語を伝えてきたようだ。

この土地を所有する概念がなかったことが、和人たちの1連の暴挙を許してしまうことにつながったのかもしれない。

この事は今でも、あまり多くは語られないことなので知っている人は少ないはず。

ドラマの中で描かれた、松浦武四郎が松前藩に命を狙われたのも史実のようだ。

暴露されたくない事実と言うことか。

松潤と深きょんの配役は?

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正直私は違和感を覚えましたが

このアイドル2人の演技だと、物語の重たい内容とは少し違和感を感じてもやむを得ないだろう。

物語の推進力になっているのは、暴力とか搾取とか歴史的には重たい事実なので、アイドルが演じることにはちょっと無理があったかもしれない。

かっこいいとかかわいいの世界ではないので、しかしながらこの題材で脚本を受け持った大石静女史には お疲れ様と言いたい。

おそらくかなりの下調べをしたと思うが、膨大な情報量に辟易したかもしれない。

今は、隠そうとしていた情報もことごとく明らかになっている時代。

北海道にとっての負の遺産とも言うべきアイヌ人との関わりは今では本などで紹介されているので全て閲覧可能である。

今は、純粋なアイヌ人のほかにハーフとかクオーターとか呼ばれる人たちもたくさんいるようだ。

同じ日本人ではあるが、文化人類学的に言えば和人とアイヌ人は別な人種かもしれない。

その意味で日本は単一民族の国とは言い難い。

多民族国家と言うべきか。

しかしそのような事は別として、私たち北海道に住む者としてこれらの歴史的な背景は勉強する義務があると考える。

私のような古い年寄りの世代は、“このようなことに対してきちんと清算しなければ”の思いが強い。

それでも、国としてもアイヌ人の歴史をきちんと伝えるような様々な事業を行うようだ。

多少なりともこういったことで不幸な歴史を少しでも改善することができるのなら、それは大いに応援したい。

まとめ

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当時の女性の姿 住まいは土間床工法でかなり暖かかったようだ

当時のアイヌの人のビジュアルは男性はほぼ100%ヒゲを生やしていたと言える。

女性は見てわかるように唇の周りに刺青をする。

この刺青は結婚をした証。

北海道の人でも実はこういった民族の特徴を知らなかったりする場合があるのだ。

今、アイヌの人たちでこの習慣を引き継いでいる人はほぼ皆無と言えるが、男性のヒゲはそれでもちょくちょく見かける場合がある。

調べてわかるが、アイヌの人たちは日本古来の民族 縄文人の直系の子孫とされる。

今の日本人は渡来人を始めとする混血のようだ。

縄文人は心の穏やかな人たちと聞く。

日本人が好戦的になってきたのは弥生時代以降。

それはお墓を発掘することによって判明するらしい。

出てきた遺骨に刀傷等があれば、戦闘があったことが疑われるので。

アイヌの人たちの大きな特徴の1つに多神教があるだろう。

自然の中にたくさんの神様を見出していたようだ。

これらの宗教に関わる事柄も貴重な文化の1つと言えるのではないか。

文化的な遺産は保護して保存すべきと思うのだが、どうなるのだろうか。

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