たまたまテレビの特集番組でやっていた、スティーブンホーキング博士の様々な研究について。
彼は姿を見たら誰もが知っている、「車椅子の天才科学者」と呼ばれる。
難病のALSを発症し、自発呼吸ができないほどの重症なのだ。
もちろん、突然このような病気になったわけではなく、20歳を過ぎたあたりから徐々に進行して、やがては人工呼吸器で生存するように。
しかし、物理学者として宇宙や物質についての探究心は、生涯にわたって衰える事はなく、様々な科学的業績を残したと言える。
とてもユニークな性格で、冗談が大好きだったとのこと。
そのホーキング博士の類稀な感性を振り返ってみたい。
目次
“晩年見かける姿はいつもこうだった。”
アインシュタインの相対性理論の欠点を指摘
“ほとんど難解でよくわからない理論だが、アインシュタインの理論を継承する良き理解者であり、しかし、その矛盾を厳しく指摘していた。”
アインシュタインが20世紀を代表する物理学者だとすれば、その彼に匹敵するのがホーキングだと言える。
ちなみにホーキング博士は昨年の3月14日に亡くなったが、奇しくもその日はアインシュタインの誕生日でもあった。
偶然と言ってしまえばそれまでだが、物理学の世界で、特に宇宙論や量子論を語るときにアインシュタインとホーキングの理論は決して外すことができない。
アインシュタインの有名な理論に“相対性理論”があるが、この相対性理論は“ブラックホール”を予言したり、“重力波”を予言したり、普通の人間なら考えつかないようなことを理論的に提唱していた。
これらは、両方とも現在では科学的に観測されていて事実と認定されている。
しかし、ブラックホールのような特殊な天体の場合、アインシュタインの相対性理論の方程式も通用しないことを初めて提唱したのがホーキングである。
彼は物理的な思考を全て頭の中で組み立てるしかないのだが。
他の科学者が一般的に行っている、紙に数式を書いて研究をすることが不可能なのだ。
すべては、感性とそこからもたらされるひらめきによって構築された。
もし、まだあと何年か存命であれば、ノーベル物理学賞の対象にもなったはずだが、巷でよく聞く意見では、ノーベル賞の判定委員会が、彼の研究の成果を評価できないだろうと言う意見が多い。
あまりに高度で難解であるがゆえに理解できないと、言われ続けている。
アインシュタインの“相対性理論”も同じ意見で語られる。
ほとんどの人は理解できないが、どうやら言っている内容はほんものらしい。
私などもそのレベルの理解力しか持ち合わせていない。
数学の問題を解くときに、方程式の中に∞が1つ混ざると、その方程式は成立しなくなる。
また0が混ざっても同じ。
計算式を台無しにしてしまうのが0と∞
ホーキングはこの矛盾を相対性理論の宇宙方程式の中に発見した。
もっと別な何かがなければ、ブラックホールのことについては説明ができない。
現在でも研究は続いていて、まだ確かな答えは出ていない。
しかし観測技術は驚くほど進化していて今年に入ってからはブラックホールの直接撮影にも成功している。
そのことをまとめた私の記事。
私のようなシローとが扱える問題ではないので、所詮は野次馬の領域でしかないが、不思議なものでしげしげと考えるとだんだん寝られなくなってしまう(汗)
なんと言っても説得力を持つのは、
- 実際に観測されること
- たとえ理論であってもしっかりと言い切ること
この2つが揃うと私など単純なので信じてしまう。
もっとも、信じるも信じないも、私がどう思おうと事実は間違いなく事実だろうから。
ケンブリッジ大学の教授のルーカス職を務める
“右頬の筋肉でコンピューター画面を操る。
合成された声がトレードマークだった。”
ケンブリッジ大学は17世紀の初めごろからルーカス職と呼ばれる名誉職が創設された。
二代目のルーカスが あのニュートン。
その流れをくんだ教授職なのだが、その特徴は物理学者でありながら特に数学的に優れている事が条件らしい。
確かに理論物理学では数学は必須科目と言える。
数式を操ることで、理論を構築していくわけだから。
ニュートンは物理学者として有名だが、それと同じくらい数学者としても有名。
“微分積分”の考え方やその基本となる仕組みを作ったのはニュートンと言われている。
あのアインシュタインが、数学ができなくて(本当は数学の先生が嫌い)、学校を退学になったのは有名。
学校で習うこと以上に高度な思考を駆使できたので、アインシュタインは理論物理学の道に進むことに。
しかし、自分の数学的な能力に決して甘んじることなく、数式専門の数学者を雇っていたとも聞いている。
ホーキング博士の凄いところは紙に書くことができないので、彼は全て頭の中だけで数式を構築していた。
天才以外の何者でもないだろう。
彼の持ち味を考えると、
- 尽きることのない好奇心
- 決してあきらめない忍耐力
この2つは大勢の人が彼から学ばなければならない特徴と言える。
子供たちにもこのことを何度も説いて聞かせたようだ。
ジョークが大好き
“無重力体験を経験したり、アニメに登場するなど茶目っ気たっぷり。”
60歳を過ぎても好奇心が衰えることがなかったホーキング博士。
無重力を体験するために、ほとんど命がけとも言える訓練を経験している。
人工呼吸器をつけた身の上なので、丸裸でいる事はすなわち死を意味するのだが、そのわずかな時間的な隙間を縫って無重力を経験している。
そして、請われるままに様々なテレビ番組にも出演していた。
傑作なのは、アニメにも登場していたこと。(シンプソンズ)
他にも何本かのコメディーに自ら出演している。
それというのも彼はジョークが大好き。
彼の口癖で、
“ジョークは人を選ばないから”
“みんなをなごやかに朗らかにさせるから。”
そう言って茶目っ気たっぷりな一面を見せていた。
ジョークを交えながら言っていたことがある。
それはタイムトラベルに関すること。
彼はタイムトラベルは物理的に不可能と断定している。
そしてジョークでこうも言っている。
私は未来や過去に対してタイムトラベルできそうな人たちに招待状を送っている。
残念ながら1度も返事は来なかったし、私を訪ねてきたタイムトラベラーもいない。
タイムトラベルがおそらく無理だなと私でも考えるので、実際には相当厳しい話だと言える。
私たちの乗っかっている地球は太陽系の中にあって、太陽系は銀河系のちょっとはずれのほうにあるのだが、実はこれらはとんでもないスピードで移動している。
つまり1秒後1分後には我々が感じていないだけで、とんでもない距離を移動しているのだ。
そう考えると、1年後とか1年先と簡単に言ってはみるが、どれだけの距離離れているかちょっと考えただけでもとんでもない世界であることがよくわかる。
つまりタイムトラベルとはそういった距離の移動を含まなければならない。
それゆえに、無理だと断定するのだ。
しかし“タイムトラベラーを今も待っている”と言う言い回しがジョークにあふれている。
1人の人間として最も求められるのは
“左は映画でのひとこま、右は実際のホーキング博士の結婚式の時の写真。”
ホーキング博士の半生を描いた映画があった。
私も何度か見たことがあるが、難病を患っているにもかかわらず結婚をして、しかも子供も設けている。
病気が発覚したときには、あと2 〜3年の命と医者に言われたそうだ。
それが20代の前半。
しかし彼の病状は進行が驚くほど遅く、実際は76歳まで存命だったのだ。
この病気の患者でここまで長生きできる人はごく稀か、全くいないか。
彼が生涯にわたってメッセージとして残してきた事は
ホーキング博士
「下を向かず、上を向いて星を眺めることを忘れないでください。人生がどんなに困難に見えても、必ずできることがある。諦めさえしなければ、生きてさえすれば、必ず望みはあるのです。」
ホーキング博士らしい言葉だと言える。
辛抱する気持ちがあれば、必ず道は開けるし、未来に望みはあるよと彼は言い続けてきた。
物理学者でありながら、その言葉のいくつかは哲学者そのもの。
彼の言葉を励みに生きている人は多い。
なくなってからおよそ1年半、彼の研究を様々な学者たちが継承し、人類の文化の発展に寄与しているのだ。