くわちゃんの独り言

音楽や映画が大好きな爺さん。長年の経験から知りえたことを発信します。

エール 父と息子の物語

 

今日のエール。

毎日見慣れている者にとっては、どうしても物語に集中しちゃうので。

そうすると自分の経験とも被ってしまって、思わずもらい泣きしそうに

いつも思うんだけどたった15分でよくここまで描ききれるなと。

父三郎が、自分の思いの全てを込めて残った家族を守りきったそんな物語。

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喜多一のすべてを浩二につがせることを承諾してくれ!

目次

お父さんの遺言

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息子に謝罪する父親

お父さんがわざわざ祐一君を呼び出したのには理由が。

自分の死期を悟っていて、最後の後始末をしようと決意。

自分の所帯一式を弟の浩二に継がせたいので祐一に何とか承諾してほしい。

俺は子供たちに何も残してやれなかった。

最後にこれぐらいしかしてやれねぇ

胸の奥から絞り出すように告白。

もうじき自分が生きていられなくなることをはっきりと自覚した者のセリフ。

そんなにも潔く覚悟ができるものかと内心思わないでもないが、しかし昔から自分流のやり方で成功もし、失敗もして最後に店を閉じることになってしまった。

何にも増して子供たちの父親としてどれだけのことをしてやれたのかをいつも考えていたに違いない。

どんな場合でもどんなことになったとしても良き父親でいようとしていたのだ。

その思いは切なく苦しい。

お父さんを演じていた唐沢寿明。

まだそんな歳の役者さんじゃないはずだけど、驚くほどの迫真の演技だったのでは。

浩二君の物語

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養蚕農家の畠山さんを説得 りんご農家へ誘導

この畠山さんを演じているのがマキタスポーツ

この年代のこのビジュアルの役者さんとしてはずいぶんあちこちで見かけるように。

演技がうまいから結構重要な役柄を演じているよね。

今日は浩二君の本音を聞き役に回って、しかも昨日提案されたりんご農家の話もしっかりと検討してくれたみたい

条件付きながら受け入れてくれそう。

物語を見ていても肝っ玉の座った頭の良い人の印象を受けたし、また浩二君の素敵な聞き役になったことで、浩二君の心の中の葛藤やなにかが本当にうまく表現されていた。

エールではこの辺の話ってとてつもなく重要なことなので。

浩二君はいつもお兄さんと比べられて、

自分には音楽の才能も何もなかったことを悲観していたんだよね。

だから実家を引き継ぐことを任されたときに、嬉しくて仕方なかったんだけれど、結局は倒産することに。

役場に入ってみたら自分と同じように倒産したり、廃業した農家や会社員が山ほどいることに気がついた。

そして自分に出来る事は何かないかと思ってりんご農家にたどり着いたとのこと。

実は福島のりんごの情報がTwitterあたりではずいぶん賑わっているんだよね。

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福島の公式サイトではこんな画像もアップ

こういった事業もきちんと成功していることが見てとれる

お父さん逝く

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浩二 おめぇが喜多一の主、喪主を務めるんだぞ

お父さんは亡くなる直前三日間ほど人事不省で寝込んでしまった。

そして目覚めてから一言、浩二と2人で話がしたいと。

浩二君曰く

兄貴と父さんが音楽の話して盛り上がっているのを見るのが嫌だった。

俺は全然ついていける話じゃなくて。

お父さんが返す

祐一は音楽しか能のない人間。

他に話せることなんか何もねぇ

おめぇとは本音で何でも話して来れたじゃねぇか。

つまり、祐一君に対しては音楽以外の話は全くできなかった。

それ故、話題はそこにしかいかない。

対する浩二君とはいろんな意味において会話をすることができた。

だから跡取りにもすることができた。

喜多一を受け継ぐことに対して祐一の承諾も取り付けているので、おめぇはこれからの事、

しっかりやってくれと。

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お父さんと浩二君の二人っきりの部屋の外、ハーモニカを吹く祐一君

このやりとりの後、お父さんは穏やかに逝ってしまった。

父親として子供たちに伝えるべきこと全てを伝えて安心したのだろうか。

事業を自分の代で閉じているので決して成功したとは言えないのかもしれないが、しかし家族に対しては真正直な人生を歩んできたのだと。

モデルとなった古関三郎次さんの葬儀の写真を2日前のブログでアップしてある。

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古関三郎次さんの葬儀写真

その中には、

古関金子さんの隣に喪服姿で立っている細面のおばあちゃんが三郎次さんの奥様
ヒサさん。

エールは物語そのものが登場人物をそのままのエピソードで用いている場合が多いような気がする。

茂兵衛おじさんと再会

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俺は昔からこういうのやりたかったんだ!

お父さんの葬儀の後夫婦2人で茂兵衛おじさんを訪ねる祐一君。

かつて権藤家を飛び出したいきさつがあって恐縮したまま、葬式のときのお礼やら何やらを述べる。

しかし、やりとりを見ていると茂兵衛おじさんはことのほか普通の様子だった。

どうやら葬式には出られなかったようだけれど、きちんと花を送って供えていたようだ。

そして葬式に出られなかったことを謝っていたよね。

どうせ俺も向こうへ行けば会えるのでなぁ

なんとも迫力のあるブラックユーモア。

思わず笑い出す音ちゃん。

しかしこの後祐一君に告げる。

自分が夢中になれることをずっとやり続けていけるやつはほんの1つまみしかいない。

せいぜい頑張って、奥さんと子供を泣かすんじゃねーぞと。

このおじさんが言うとなんか相当すごいことのように感じるけど。

おじさんももう銀行を閉じているので、悠々自適で暮らしているようだ。

毎日趣味の陶芸に没頭して作品作りに励んでいる

お土産としてめおと茶碗まで持たせてくれる。

(仕上がりは賛否両論あるのかも)

今日の物語でほっと胸を撫で下ろした出来事があった。

それは祐一君と浩二君がどうやら和解できたこと。

家族がわだかまりを捨てて、また交流することができるようになるのは何にも増して宝物に違いない。

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弟浩二君を演じる佐久本宝君

エールにはずっと出演していたので実はあまり気にも留めていなかったが、よく調べてみると大変な実力者の俳優であることが納得。

映画怒りでは1200人のオーディションの中から主役に抜擢されている。

役者としては主役級であることに間違いなさそう。

心の中に葛藤と、憧れと、そして今日は愛するものが目の前からなくなっていくことに対して怒りすら演じきっていた。

演出もうまいんだけど、役者の実力がものを言うシーンが目白押しだったので。

これからどの程度出演してくるのかわからないが、エールで期待される俳優を1人見つけて得した気分に。