名曲暁に祈るが制作されたいきさつを中心に戦争へ導かれる苦しい時代の1週間が描かれていた。
まだ、世の中はそれほど戦時色が強くなっているわけではないが、少しずつ国を挙げて様々なプロパガンダが行われ始める頃。
国威発揚、戦意高揚を目的として軍主導で歌謡曲の世界も軍歌など中心にもてはやされることに。
そんな中で大活躍をして知られることになったのが古山祐一こと古関裕而さん。
そして、この頃の人たちは皆徴兵経験を持っている。
目次
はじまりは露営の歌
新聞で発見した歌詞に感じるものがあって作曲した祐一君。
それがなんとコロンビアレコードで作曲を急がれていた露営の歌。
たまたま持ち込んでみたところが、最初曲に乗り気でなかった廿日市氏。
しかし秘書の杉山さんのとても良いの一言で録音することに。
実はそれが大ヒットのきっかけ。
50万枚を超える大ヒットで、当時としての新記録だったと聞いている。
愛国歌謡の第一人者として古山祐一の名は誰もが知るところとなったのだ。
はじまりは偶然だったかもしれないが、作曲家古山祐一が持っているポテンシャルを本格的に発揮し始めた頃のエピソード。
古山家の様子
一人娘の華ちゃんも大きくなって、音ちゃんは近所の子供たちを集めて音楽教室を始めることに。
この頃8ミリ撮影を趣味としていた祐一君は、華ちゃん中心に様々な映像を撮影していたようだ。
教室では最初歌おうとしていなかった華ちゃんも、生徒の1人弘哉君の導きで一緒に仲間に加わることに。
印象的だったのは弘哉君が実は筋金入りの音痴でそのことを苦に一旦教室を辞めようとしたのだが、祐一君からハーモニカをプレゼントされて音楽の楽しさに目覚めていく設定になっていた。
世の中は戦争へ向かってまっしぐらに進んでいく中、音楽教室はその活動を楽しく継続できていた。
暁に祈る誕生秘話
ある時、姉の吟ちゃん夫婦が訪ねてきて陸軍の依頼で、映画の主題歌を作って欲しいとの事。
映画の台本はできていたが主題歌の作詞家や歌手はまだ決まっていなかったので祐一君から福島三羽ガラスを提案、それがうまい具合に受け入れられた。
しかし、作詞を担当した鉄男君はなかなかオーケーを取り付けることができない。
書いても書いてもダメ出しをされ、一旦はクビになりかけるのだが。
祐一君の発案で福島に里帰りをしたところ、恩師の藤堂先生が出征するとのことを聞きつけて、先生に捧げるつもりで作詞したとの事。
このときの作詞秘話が残っている。
暁に祈るは冒頭に
あ〜あぁ あの顔で とあるが、実はこの最初の嘆息する部分。
何度書き直させられても認めてもらえなくて、ため息まじりにあ〜あぁとつぶやいたんだそう。
そのため息をそのまま歌詞に活かしたとされていた。
ちょっと笑っていいのかどうかも考えてしまうが、作詞を担当した野村俊夫さんのエピソードとして紹介されている。
作詞家として有名な人だが、長く下積み時代が続いていて、泥棒以外の事は何でもやったと述懐していたね。
時代は戦争へ
1週間まとめの放送を見ていて1番注目するのは最後のわずかな時間流れる来週の予告編。
1週間のタイトルが不協和音とあった。
戦争に突入していく時代背景ながら、自分らしさを求め続けようとするエールの登場人物たち。
それは祐一君しかり、音ちゃんもしかり。
職業作曲家としての祐一君は自分の活動に違和感を感じながらも、日本人として自分のやれることを頑張るしかないと覚悟を決めていた。
何もかも戦争の道具として扱われることにたまらなく違和感を感じる音ちゃん。
さらに物語は音ちゃん達3姉妹の身の上にも容赦なく戦争の影が被ってくる。
吟ちゃんの夫智彦さんもどうやら戦地への配属が決まったようだ。
さらに梅ちゃんたちにもなんとなく問題が起こりそう。
そして、福島三羽ガラスの1人久志君の出征も決まったようだ。
予告編には出ていないが祐一君でさえ、従軍記者として出征することになる。
ネットのニュースで盛んに言われているのはこの辺の史実をどのくらいきちんと描けるのか。
記録がきちんと残っていることなので、おそらくはありのままに描くだろうと想像する。
エールはあと2ヶ月ほどの放送になる。
当初の予定回数を10回ほど減らして放送するらしい。
物語がどのようなところに行き着くのか自分にとって最後まで見届けたい。