佳境に入った物語は、かつて切ない別れをせざるを得なかった千代ちゃん一平君の再会の様子が描かれることに。
もう残り3回の放送回数なので、今更と言う気がしないでもないが、かつては夫婦としてまた同志として一緒の人生を過ごした2人。
別れてから数年が経ったとの設定だが、それぞれ新しい家族と新しい仕事で活躍している。
おちょやんはこの2人の出会いと別れと、そして和解が大阪風の描き方で語られる。
ここから先残されたエピソードは和解するための物語となる。
やっぱり、テーマは家族、仲間、助け合い。
目次
岡福は帰るべき故郷
意を決して帰ってきた道頓堀。
懐かしさと共にこみ上げてくるのは家族同然となった人たちとの強い絆。
ここはやはり千代ちゃんが帰るべき故郷。
仲間たちは皆優しく、昔話にも花が咲く。
ただし、なぜか鶴亀新喜劇でもう一度千代ちゃんが出演することには誰も触れなかった。
たった1人息子とも言うべき存在寛治君だけは事情を詳しく説明してくれたね。
他のメンバーたちは皆千代ちゃんに気遣いを見せつつ、昔の傷には触れないように配慮していたようだ。
しかし、寛治君の立ち位置は少し違う。
自分自身の立場も踏まえながら、一平君、千代ちゃん、灯子ちゃん、新平君。
それぞれの登場人物にどんな未来が一番ふさわしいのかを常に考えている。
家庭人であると同時に喜劇役者であり作家でもあり。
この写真の中には寛治君は写っていない。
さらには戦争で亡くなった人たちも多数。
道頓堀での活動の出発点となった写真がこれだと言える。
謝罪すること 落とし前をつけること
一平君の家で3人できちんと話をすることになっていた。
このシーンに一平君、灯子ちゃん、千代ちゃんが出席しても正直なところを言えば誰もがみな気まずい。
謝罪しなければならないもの。
謝罪を受け入れてきちんと前へ進むべきもの。
それらが同時進行で進んでいかなければならない。
ドラマの中の1シーンでありながら何と言う過酷な設定。
それぞれ胸が引き裂かれるような苦痛を感じつつ、それぞれの役割を果たす。
道頓堀の舞台に復帰を決める
千代ちゃんは一平君家族に会ってみて、まず自分の気持ちを確かめたかったに違いない。
かつてあまりに苦しく辛い体験をしたがために一旦は役者をやめようとまで思った。
再びラジオドラマで役者として復帰するに至ったが、
役者を続けていく覚悟が自分に本当にあるのかどうかを確認する必要が。
そのためには自分の中でトラウマとなっている一平君と灯子ちゃんにきちんと向き合ってみること。
その時の自分の反応で、自分にいかほどの覚悟があるのかを判断しようと。
2人の前で何度か言葉を交わしてみて、再発見できた大丈夫な自分。
よし、だんない
大丈夫や
それは自分と、自分の周りの人たちへの決意表明。
この先も役者として自分はしっかり活動することができる。
そのことをはっきりと宣言したシーンになっていた。
もし、千代ちゃんと一平君に子供が生まれていれば、こんなことにはならなかった。
千代ちゃんと一平君は夫婦ではあったが、その本質はどちらかと言えば戦友のようなもの。
彼らは同じ敵と戦っていた同士。
夫婦として男と女の関係で居られた時間はごくわずかだったに違いない。
寝ても醒めても芝居談義で、夫婦が仲睦まじくいられる時間なんて思い出してみてもほぼなかったような。
結論から言えば子供ができるようなチャンスなどありはしなかった。
そしてそのことに端を発して今日現在がある。
たまたまの出来心だった浮気は考えられないような方向へ進んでしまった。
それは関わった人たち全員に苦しみをもたらすだけのことだったかもしれない。
しかし、時間とともにそこから別の道を模索し始めた登場人物それぞれは、皆ふさわしい人生を開拓してきていると言えるだろう。
娘春子のためにできること
春子ちゃんはどうやら理系の勉強が苦手のようだ。
算数とか理科とか特にあかんと本人も納得。
どうやら今日のエピソードの中では岡福の旦さんに勉強を教えてもらったとのこと。
春子ちゃんは、やっても無駄な努力なら意味がないと考えている。
しかし、勉強なんてものは意外なことだがちょっとしたコツがあったりして。
がんばってもがんばっても無理だと言うことではなさそう。
頑張りどころを少し教えてもらえれば、苦手意識は意外と克服できるものでもある。
千代ちゃんは喜劇役者として自分が登場している舞台をなんとしても娘に見せたいと心に決めた。
きっとその舞台から学ぶべきことが出てくる。
登場人物それぞれが自分にふさわしい人生はどんなものなのかをしっかりと納得する時がすぐそこにまでやってきている。