くわちゃんの独り言

音楽や映画が大好きな爺さん。長年の経験から知りえたことを発信します。

再考山本五十六… NHKドラマ“倫敦ノ山本五十六”をみて

 

年末年始はテレビと映画三昧で毎年過ごしている。

以前はレンタルDVDなどを借りていたが、最近はもっぱら録画して撮りためていたものを見ることに。

古いブルーレイレコーダーが我が家には二台あって、総動員して録画をする。

今回のお正月も年末に面白そうな番組がいくつかあったので、映画のシリーズ物等を含めて、たくさん録画した中に今回のドラマ。

『倫敦ノ山本五十六』を録画予約したつもりだったのが、フタを開けてみたらどこにもない!

どうやらセットするの忘れていたらしくて、困っていろいろ考えてみたところが、私はNHKの受信料をしっかり払っている人なので、

NHK ➕を検索すると、見事にヒット

そっくり、見ることができたので、その感想をアップ。

今までの戦争ドラマを見慣れた人には一風変わったドラマに思うだろう。

物語の設定は太平洋戦争が始まる7年前のときの様子を中心に描かれる。

海軍の軍人としか知られていない山本五十六だが、彼は英語ペラペラで、外交官経験もある国際派。

当時、目先のことに目がくらんでいた大勢の日本人の中で、世界の趨勢を正しく見ることができた数少ない1人だったかもしれない。

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こちらがドラマのタイトルバック

目次

軍神 山本五十六

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おそらく55歳から57歳にかけての頃と思われる

太平洋戦争の引き金となった真珠湾攻撃を計画立案者。

先進的な考えを軍の作戦計画にも積極的に取り入れることで知られていた。

既に海軍が巨大な戦艦を持つことに対しては、時代遅れであることを認識していたと思われる。

彼の考えでは戦争の主力になるのは航空機。

飛行機の機動力や、瞬発力など様々な利点を活かした作戦こそが最も優れていると信じたようだ。

真珠湾攻撃では、作戦に参加する兵士たちを何度も何度も訓練させて鍛え抜いた。

あの作戦ではベテランの飛行機乗りたちが作戦遂行にあたった。

歴史的には、誰もが知っている事実だが、実は最近になってから(過去からわかっていたこともある)、新しい事実が判明したとも言える。

よく言われる“真珠湾攻撃は騙し討ち”だが、実は攻撃してくることをアメリカは察知していたと思われる。

その上で、何の防御もせずに日本の攻撃をそのままされるがままに受け止めた。

そこには周到なプロパガンダ思想が組み込まれていて、アメリカ国民を戦争にかり立てるための一か八かの賭けにも例えられるような作戦。

その理由は、日本軍が暗号として使っていた様々な電文は、全てがアメリカに筒抜けだったこと。

つまり日本軍の暗号は早い段階で完全に解読されてしまっていた。

昭和18年4月、59歳の誕生日を迎えたすぐの山本五十六はブーゲンビル島で飛行機で移動中、撃墜されて戦死することになる。

実はこれらのことも全て暗号が読まれていた上での結果。

暗号が読まれているかもしれないとの意見は軍内部にもいくつかあったようだが、軍の上層部たちは断じてありえないと頭から否定していた。

この頭の悪い反応が、日本を負け戦に駆り立てたとも言えるだろう。

俳優香取慎吾

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役者としては一級品だと感じる

役者としての彼の演技を今更批評したところで、どうなるものでもないが彼はずいぶん昔の大河ドラマで近藤勇の役をやっていた。

その時は脚本の面白さもあって見入ってしまったと思う。

フタを開けてみれば、時代劇も現代劇もこなす実力派俳優に変身したような気がする。

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これは物語の最後のほうのシーンだと思う

どちらかと言えばバラエティー番組、SMAPの一員くらいのイメージしかなかったけれど、

このグループのメンバーは皆それぞれ役者として成功しているかもしれないね。

たいていは木村拓哉くんとかが有名で表に出てくる雰囲気だけど、他のメンバーたちもかなりの実力者だと感じる。

特に木村くん以外のメンバーは主役も脇役もこなせるところが非常に大きいと私は感じている。

ドラマの設定

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若い頃の山本五十六(左側)

ドラマの設定は昭和9年から昭和10年にかけて、日本軍とりわけ海軍がどんなふうに世界の中で振る舞うのかが描かれる内容。

第一次世界大戦が終わった直後で、世界は軍縮に動きつつあった。

実はその時アメリカイギリスが主導したが、世界中のそれぞれの国の軍備の枠をあらかじめ決めた内容にしようと言うのもの。

その時、アメリカ、イギリスが5であるのに対し、日本は3と軽くあしらわれていた。

日本としては欧米と肩を並べるだけの力のある国であることを誇示したかったようだ。

他の国と同じような足並みにしろと。

実はこの交渉がこの頃イギリスで行われていたが、日本代表団の1人に山本が加わることになった。

理由がある。

山本はアメリカに何度か外遊していて、外交官も勤めていたことが。

英語もペラペラ。

通訳なしでも充分軍縮協議に参加できたが、わざわざ通訳を立てたようだ。

理由も物語の中で語られていた。

直接話せば済むことだが、通訳を介することで時間がかかる。

そうすれば考える時間が生まれて、相手から情報を引き出しやすいと言う山本なりの作戦だったらしい。

日本海軍のチャキチャキのエリートと思っていたが、国際感覚に溢れたコミニュケーション能力の持ち主だったようだ。

物語は軍縮競技についてのやりとりが主なメインのテーマになるので、戦闘シーンなどはほんのわずか。

戦争物のドラマを期待する向きにはあてが外れるのかもしれない。

しかしドラマの中で様々なやりとりが、緊張感を持って描かれていて見るものを充分納得させたと思う。

山本五十六人となり

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結婚した頃

山本五十六は家庭人だったことでもよく知られる。

息子や娘達に気配りをしそれぞれが幸せになることを願っていたようだ。

そして、公にはあまり知られてはいないことだが愛妻家だったくせに、お妾さんもいたと聞いている。

英雄なので、多少の浮いた話があってもしかるべきかなと。

彼が日々眺めていた手帳には彼の亡くなった部下たちの住所氏名が全て記されていた。

彼は戦死する直前は手帳を眺める時間が多くなったと伝わっている。

そして、物語の中でも描かれていたけれど彼は無類の博打好き。

ポーカーで荒稼ぎしている様子も描かれていたね。

日本では、花札とかよくやったんだろうな。

先進的なことに理解を示した彼だったが、その精神構造は日本の軍人(武士道)そのものだったようだ。

彼は葉隠の中で語られるように、

武士道とは死ぬことと見つけたり

この言葉通りの人生を送ったような気がする。

南方戦線に、視察に赴いた時も、自分の行動がアメリカに筒抜けなのかもしれないと危惧する思いもあっただろうに、前線の兵士たちを励ますためには多少の危険など、何するものぞと思ったに違いない。

とりわけ今の日本は、まだ太平洋戦争中の過去の精算が、心の中では全くすまされていない気がする。

東京裁判で、1部の軍人が暴走した結果戦争を起こしたと言うことに決着しているが、歴史を何度も追求して学ぼうとするとそれらが全て茶番だったことがよくわかる。

しかし、ドラマの中では彼はそういった歴史の大きなうねりの中に飲み込まれてしまった1人として淡々と描かれていた。。