舞いあがれは物語の進行速度が驚くほど早い。
昨日初めて登場した菱崎工業の荒金さん。
今日は、早速IWAKURAにやってきて工場を見せてくれと言う。
そして、工場の感想を述べつつ、話は本題に入る。
どうやら、新しい飛行機のエンジンに使う部品(ネジ)の試作品の話を持ってくる。
IWAKURAはまだ航空機用の部品を制作するにはJIS Q 9100の認証が取れていない。
ネジ1個であっても、そこは信頼性と品質が極限まで求められる世界なので、様々な約束事は必ずクリアする必要が。
荒金さんとのやりとりで、ついに航空機部品の試作品を作ってみてはどうかと相談を持ちかけられる。
実は、この依頼には種明かしがあって、本当はよそに制作をお願いしているらしいのだが、残念ながらうまくいっていないとの事。
それ故、代替え案としてIWAKURAに正式な注文を見据えて発注する予定らしい。
IWAKURAは航空機部品に関しては、全くの未経験。
簡単に引き受けるわけにはいかないので、迷っていたところ、舞が単刀直入に質問。
図面を見せて欲しい。
もちろん、これは極秘情報なので本当は見せられないシロモノ。
昨日のセミナーでの舞とのやりとりが、IWAKURAに白羽の矢が立った最大の理由。
目次
荒金さん突然の訪問
さすがに一流企業の重役ともなれば話の進め方も早い。
本当は、図面などを見せる気はなかったんだろうけど、舞の依頼に快く応じる。
図面も見ずに“はい分りました”なんて言う人は普通いないと思うので。
営業のやるべき事は、注文を取る事はもちろんだが、仕事になるかどうかの判断も極めて重要。
およそ不可能なものは仕事にならないので。
私自身も会社勤めが長かったので、その辺の記憶が蘇る。
思いつくままにありえないような形で注文をよこす依頼主にはほとほと困った記憶も。
荒金さんは舞がセミナーで発言したことに大きく感銘を受けていた。
IWAKURAには確かな技術があること。
そして、舞自身がチームワークを強調したことによって
IWAKURAが持ち得る以上の技術力が発揮できるのではと考えたようだ。
足りないところは協力しあって補えばいい。
口では簡単に言えるけど、ここを実現させられる調整力は極めて重要。
世の中の様々な仕組みは、いろんな事柄を全て分業で成り立たせるようなきらいがある。
それを再び1つに纏め上げようとして進むのが舞のやり方。
難しい課題を突破する起点になる発想。
正式な注文を見据えての依頼
めぐみ社長は、どちらかと言えば手を出したくないような雰囲気。
仕事の内容がよくわからない上に、今ある生産LINEで製造可能かどうかすらわからない。
そこで、軽々しくゴーサインなど出せるはずもない。
舞はとりあえず設計図を見せてほしいとお願いしてみる。
本来は公表できない設計図だが、作れるかどうかの判断を仰ぐためには、情報を公開するしかなかった。
部品の設計図は、極秘扱いと言って良いだろう。
歴史を考えてみてもよくわかること、第二次世界大戦中の日本の零戦は、連合国に恐怖として受け止められていたが、ある時、零戦の無傷の機体が相手方に渡ってしまう。
その時に、徹底的に研究され尽くしてすべての極秘情報が明るみに。
その結果、零戦の優位性はほどなくして失われることになる。
車等主な製造製品は、激しい経済競争の中切磋琢磨して品質の向上を保ち続けてきた。
航空機ももちろん同様のことが。
もし試作がうまくいくようなら、正式な注文として後から発注されるとのこと。
それゆえハードルは、今までとは比較にならないほど高い。
何とかして願いを叶えたい。
その思いは、父親譲りであり、あるいは父親以上なのかもしれない。
IWAKURAの社員たち
最初は尻込みしていた社員たち。
笠巻さんや章など職人としての目線で仕事そのものを厳しく吟味。
どうやら、ネジの形状もさることながら、材質も特殊だと。
ニッケル基素材と言われていた。
今までIWAKURAでは扱ったことがない。硬くて加工しにくい素材。
加工する仕事の場合、真っ先に考えるのは、素材がどれだけ作業を受け入れてくれるかどうか。
私は木材屋だったので、様々な木材の加工業務に当たった。
当然、作業のしやすいもの、できれば触りたくないものなど様々。
IWAKURAはまず、金型を作るところから始めなければならなかった。
硬い材料の加工は本当に骨が折れる。
作った金型も、おそらくすぐに痛むだろうし作業スピードその他全てに影響が出るはず。
舞の説得
舞は父親以上に頑固ものだと笠巻さんの批評。
とにかく、願いを叶えるためには、どんな頑張りもいとわない舞。
その願いに応えようとする社員たち。
果たして、このプロジェクトが成功するかどうかは、舞の熱意に関わる部分が多いのかも。