どうする家康では描かれた桶狭間の戦いで、今川義元は討ち死に。
今川家は氏真が後を継ぐことになった。
彼は歴史上でも無能な将軍として評価は著しく低い。
我々一般人が知る今川家は義元亡き後の歴史はあまり知られていないが、この物語では、詳しい事情が、登場人物たちそれぞれの胸の内を克明に反映しながら描かれることになる。
戦国時代の末期、織田信長はその勢力を飛躍的に伸ばしつつあったが、この当時機内を始め、全国には有力な武将たちが目白押し。
その中でも、特に力があるとされたのは、
越後の上杉謙信、
甲斐の武田信玄、
そして駿河の今川義元。
名前を変えたばかりの徳川家康は、周りを列強に囲まれて、生き残りをかけた戦いが続いていた。
特に関わりがあったのが武田信玄。
先週のエピソードで詳しく描かれていたが、武田は今川領をほしがり、徳川と密約を結んで、領土奪還を画策していた。
武勇で名を馳せたへ武田騎馬軍団は、たちまちのうちに駿府を手中に収める。
対する家康も負けずに、遠江から進軍を開始するが、武田とくらべられれば、その足並みは遅い。
間に挟まれた今川氏真は武田と徳川に責められて父祖伝来の領土は奪い取られることに。
目次
武田信玄の実力
この時代、武田信玄は上杉謙信との争いを一旦止めて南の駿河に進行。
もともと、戦うことにかけては戦国一と言われた武田騎馬軍団は、快進撃を続けて駿府を簡単に制圧してしまう。
物語の中で描かれる武田信玄の濃いこと。
他の俳優たちが皆 普通の味付けなので、武田信玄を演じる阿部寛の存在感は、周りを圧倒する。
実際にこの時代、武田とまともにぶつかりあう武将はほとんどいなかったはず。
かろうじて上杉謙信だけが戦いを挑んでいた。
歴史に残る武田信玄が、塩の流通を止められて苦労していた時に、宿敵上杉謙信が塩を送った話は有名だが、この時代のことを指している。
最初に答えを言ってしまうが、武田と徳川で駿河の切り取り作戦が進行していた。
勢いのある武田に対して、もたつく徳川。
そして、徳川は、信玄の思惑に背いて今川氏真を逃してしまうのだ。
そのことが理由で、今川の受け入れ先北条と武田は敵対することに。
塩の流通が止められたのはその辺が理由だと聞いている。
この後武田は徳川とも敵対する関係になった。
徳川家康の本心
物語が描かれたのは遠江の掛川城。
ここに立てこもった今川氏真は捨て身の作戦で半年以上も持ち堪えることになる。
子供の頃、氏真とは兄弟同然に育った家康はできれば彼とは戦いたくないし命を奪うこともしたくない。
武田信玄の催促にどうしても諍い切れない家康は悩んだ末、氏真夫婦を北条方に逃すことに。
物語の中では、なくなった今川義元を登場させてかつての2人のエピソードを交えつつ物語を盛り上げていた。
今川氏真は武将しては、見るべきものがないと言い放つ義元。
父親の言葉に意気消沈する息子。
そして、親子の間を上手に取り持つのが歴史上では早川殿。
物語の中で描かれた今川氏真の正室で北条家の娘。
彼女が父と息子と友達の関係を上手に繋げながら、夫の助命に貢献する。
今川氏真の心意気
物語の中で、氏真は家康の正室瀬名をめとりたかったと語られていた。
彼は政略結婚で見ず知らずの北条家の娘“糸”と結婚させられる。
本人にしてみれば不本意なことだったかもしれない。
しかし、この時代の力関係は領主通しの結びつきが頼りになるとされた。
さらには、氏真の武士としてのメンツは逃げ回って生き延びることではなかった。
妻の実家が手を差し伸べてくれることをよしとはせずに撃って出て滅ぼされる事も辞さない覚悟。
家康と氏真
物語の最後の方で描かれた家康と氏真の真剣勝負。
明らかに脚色には違いないが、歴史的には大きく間違ってはいない。
やりとりがあったかどうかは別として家康は氏真を北条に逃がしてやる。
これが武田信玄の逆鱗に触れるのだが。
この後、信玄は徳川家とは相容れない間柄になる。
そして、三方原の戦いで徳川家康の軍勢を完膚無きまでに駆逐する。
この辺は歴史に残ったことなので、改ざんのしようもない。
物語は、史実通りと言いながら、ドラマチックに脚色されている。
このデフォルメ加減に慣れないと“どうする家康”は歴史物語として伝わってこない。