物語は驚くほど過酷な状況が描かれる。
寅子たちは次の司法試験に向けて勉強会その他、努力研鑽を重ねていた。
しかし、昨日のエピソードで明らかになった
朝鮮からの留学生崔香淑は特高警察から試験には受からない旨を通告される。
どれほどの努力を重ねようが、司法試験突破はありえないことだと。
それでも仲間のために試験を目指す素振りを見せていた。
やがて努力も限界に。
5人のメンバーのうち崔香淑が試験を諦めざるを得なかった。
そして試験まであと2週間と迫った時に、さらに追い打ちが。
メンバーの1人櫻川涼子の父親が失踪する事件が起こる。
父親は婿養子だったが故に日々ストレスを溜め込んでいたのかもしれない。
芸者と家を出たらしい。
残った涼子は櫻川家のために婿養子を取ることを決断。
それはすなわち司法試験を諦めることを意味していた。
物語はここへ来てメンバーたちそれぞれに容赦ない試練が訪れることを描き出す。
女性とたち5人のメンバーは1人減り2人減り、さらには唯一子育てをしながらの主婦
大庭梅子にも夫から離縁状が突きつけられていた。
どうやら梅子にも重大な障害が。
残るメンバーは、よねと寅子のみ。
重苦しい雰囲気の中、物語が描く展開は落としどころが見えにくい。
目次
崔香淑の願い
香淑ちゃんは試験突破の可能性が絶たれていることを承知しながら、みんなと足並みを揃えて頑張っていた。
しかし、それも限界。
朝鮮に帰るしかない。
演じているハ・ヨンスは調べてみると韓国人タレントでモデルもこなす。
見ていて面白いと感じたのは、彼女は畳など床に座るときには朝鮮人らしく立て膝をついている。
日本の戦国時代の女性も調査によれば、膝を立てた状態が正しく控える姿勢なんだそうな。
一見、行儀が悪そうにも見えるが男子のあぐらをかくのと変わらないように見える。
どれも皆、正式な作法として今も伝わるので、私的にはむしろ人物の特徴がくっきりしていてわかりやすいと感じる。
櫻川涼子の場合
涼子の父親が失踪したニュースを週刊誌で知ることになる寅子。
物語の中では、彼女の切ない事情が描かれていた。
櫻川家は母親が婿養子を取る形で存続してきた。
男爵と言う爵位は、貴族の中では決して高くはないが貴族には変わりない。
大勢の使用人がいてそれなりの財産も保有し、その家系の者たちは勝手な行動は著しく しにくかったに違いない。
この場面は朝ドラで描く内容としては驚くほど重く切ないと感じる
この時代、物語の中で何度も描かれたことだが、女性の幸せ、家系の存続など今とは異なった価値観の内容がよく登場してくる。
涼子は英語を話すこともできる間違いない才媛だったが、家を飛び出してまで自分の意思を貫くことにはならなかった。
それは彼女の意思が弱いからではない。
彼女が引き受けるべき使用人や家族など心情として見捨てることができなかったから。
大庭梅子の場合
物語の中で描かれた梅子が夫から離縁状を突きつけられるシーン。
子供には会えると思うなよ。
この言葉には驚くほどの無慈悲さが漂う。
彼女には3人の息子がいて、長男はともかく次男と三男だけは何とかして自分の手で育てたいと考えていたようだ。
ここへ来て、突然の離縁状の出現で事態は大幅に変わることになる。
少なくとも彼女は司法試験の会場にはいない。
つまり、単純に司法試験を諦めたと考えるのが妥当ではないだろうか。
それにしても夫の大庭はかなりのクズだと言える。
物語に登場したあたりから、ずいぶんと自分の妻を馬鹿にする発言が目立っていた。
しかも芸者を囲っていると言う。
いろんなことが物語の中で情報として提供されてきたので、より身勝手で傍若無人な男の代表として描かれている。
それにしても狭き門の司法試験は今でもそうだろうけど、この時代は女性にとってはあまりに過酷で厳しすぎるのではと思うようないばらの道。
寅子の母親はるが“地獄”と呼んだ言葉には今更ながら実感がこもる。
いざ 試験
試験会場で受験する寅子の様子が描かれていた。
一緒に試験場に向かったのは、よねと轟。
最初は5人のメンバーがいたはずだったが、女性はついに2人しか残らなかった。
もしこの試験に失敗するようなら、次のチャンスを待つだけの気持ちが彼らにあるのかどうか。
物語の公式発表とかモデルの三淵嘉子さんの歴史が既に明らかなので、寅子が試験を突破する事はわかっているのだが。
それにしても過酷な現実がここまでとは想像できなかった。
さらに一緒に試験を受けた優三君はどうなるのだろうか?
彼は緊張するとお腹の調子が悪くなる。
今回も同じような症状に苦しんでいたが。
さて、明日明後日で今週のエピソードにも決着。