いつの時代でもそうだが、週刊誌やテレビなどゴシップ記事の記者は山ほどいる。
物語で描かれた昭和24年当時だと登場する鮫島以外にも似たような記者たちは山ほどいたはず。
そして本当のことを3割程度、後は面白おかしく7割を捏造で固める。
そうするといかにもそれらしい記事が出来上がる。
このやり方はこういった記者たちの常套手段。
スズ子は愛子は同伴させて映画の撮影に臨んでいる。
子育ても仕事も自分の手でというのが彼女の言い分だろうが、実際は娘と片時も離れたくないのは彼女の偽らざる気持ちだろうと推察。
とにかく離れたくないのはスズ子。
今日描かれたストーリーでは茨田りつ子の様子も話題の中に。
週刊誌記者鮫島はりつ子にも言葉巧みに近寄りそれとなくスズ子との対比の形で記事を作り上げる。
もちろん大半は鮫島の捏造になるが、スズ子とりつ子の2人の心をもて遊ぶかのような文面に。
りつ子はこの頃、自分の歌唱にいまひとつ自信が持てないでいた。
思うように歌えない。
りつ子にとって歌手活動こそが自分の本分だとの覚悟がある。
週刊誌記者鮫島はりつ子のささやかな発言を救い上げる形でスズ子との対談を画策しようとした。
週刊誌は売れてなんぼの世界なので、記事が真実かどうかは二の次三の次。
スズ子は愛子のことが気になって撮影にもいまひとつ集中できないでいた。
目次
愛子のケガの波紋
愛子が怪我をした事はスズ子にとっては一大事。
ことを知ってか、映画の撮影もその日は取りやめになり、さらには2日ほど休んでくれると言う。
しかし、撮影が先延ばしになれば当然後から大変な目に遭う。
スズ子は役者として演技をしなければならない。
映画はステージとは違った緊張感があって気の休まる時間は無いと思われた。
何よりもスズ子は愛子と離れられない。
愛子がスズ子を求めるようにスズ子は愛子以上に娘と離れられない。
それにしても子育てと仕事の両立がどれほど難しいか。
今も昔も変わらないテーマ。
昭和24年当時なら子守を雇うのも全て口コミで探すしかなかっただろう。
スズ子はそのことができずに全て自分で背負い込んでいた。
茨田りつ子の不調
りつ子は自分の声がいまひとつ不調なことを厳しく受け止めていた。
歌手は歌ってなんぼ。
お客さんに歌を届けなければならない。
マネージャーがどんなに取りなしても、彼女の歌うことへの思いは揺るがない。
自分なりに出来が悪いと思ったんだろう、「チケット代をお客さんに返したいくらい」と語っていた。
物語に所々登場してくる三流週刊誌記者鮫島は、ゴシップネタを探して神出鬼没。
特にこの時代の歌手として茨田りつ子と福来スズ子は双壁をなす2人。
この2人を話題にすれば、週刊誌は絶対に売れると確信していたようだ。
本来りつ子は週刊誌などの取材を受けるような事はしない。
歌うこと以外に喉を使いたくない
あながち嘘でもないりつ子の本音。
りつ子のプライドを巧みにくすぐりつつ、鮫島はスズ子が語ったと嘘をつく。
はじめは取り合わなかったりつ子だが鮫島の巧みな誘導につい応じてしまう。
ブギウギは基本悪党と呼ばれる人は物語に登場しないが、鮫島がその役割を一手に担っているのかも。
タナケンからの助言
スズ子が愛子を連れて撮影にやってくるので、どうしても撮影の足を引っ張りがち。
子供の事だから仕方がないとタナケン。
そう言いながらも撮影全体のスケジュールを考えれば現場にかかる負担は、後々作品そのものの質を下げることにつながると手厳しい。
タナケンは自ら脚本を作って作品をまとめる言ってみれば、エンターテナー。
タナケンの1番の関心事はどれだけ納得できる作品を作ることができるか?
そのためには撮影が滞る事は1番避けたいだろうにね。
スズ子が撮影の合間に愛子と戯れているの複雑な表情で見つめていたよね。
演じるためには、役づくりと演じるときのモチベーションが何よりも大切。
集中力だけがそれらを可能にする。
愛子が気がかりでどうしても撮影に集中できないスズ子はダメ出しが多くなってしまう。
果たしてこのままでタナケンが目指す作品の質が保てるのかどうか。
三流週刊誌記者鮫島鳥夫
物語でも描かれた通り鮫島は実に狡猾な誘導で記事を捏造する。
全くのデタラメでは無いわけで微妙に本当のことも混ぜながら、世の中の注意を引こうとする。
モデルの笠置シズ子も様々なゴシップ記事の洗礼を受けていた。
有名税のようなものと言ってしまえばそれまでだが、注目される人にしてみれば、迷惑極まりない。
鮫島の巧みな誘導で茨田りつ子とスズ子は対談するしかなくなってしまった。
お互い誤解を持ったままの対談だから、ろくなものにはならないのは明らかだが、鮫島の狙いはそこにある。
要するに面白い記事にさえ仕上がってしまえば、後はどうでもいいのだ。
この姿勢は現在でも同じように続いているものと思う。
現在は週刊誌やテレビ以上にネットのSNSで拡散する方がはるかに広まる。
普段からどんな批判にも耐えられるように準備しておけば良いのだが、それにしても正直疲れる話。