物語の設定は昭和25年春とあった。
戦後5年が経ったことになる。
記憶をたどれば私は昭和28年生まれなので、私自身も戦争中の記憶を引きずったまま生まれてきたのかもと感慨深い。
スズ子は芸能活動に忙しい。
先週から登場してきたお手伝いさん大野晶子さんはスズ子たち家族にとって心強いみかた。
今日は大野さんの半生がりつ子とスズ子の会話の形で紹介されることになった。
冒頭でも語った通りこの頃の人たちの記憶の最も大きな部分は太平洋戦争だと断言できる。
大野さんはりつ子と同じ青森県の出身で、りつ子の実家で働いていた女中さんだと語られていた。
わがまま放題のりつ子に真正面から向きあってくれたのが大野さんだったらしい。
ずいぶん昔からの知り合いだが、戦争中に夫を亡くし息子夫婦や孫も全て失ってしまった。
戦争の傷跡と言ってしまえばそれまでだが、はるかに時間の経った現在でも戦時中の記憶は後世に伝えるべき遺産として大切に扱われなければならないのだろう。
スズ子は歌手や俳優として活躍する傍ら、レコード会社から次のヒット曲を求められていた。
1度有名になってしまったタレントたちは誰もが皆所属する組織からさらなるヒット作品を求められる。
作品を演じているタレントたちはともかく周りのスタッフはどうやらお金の計算の方が大切なようだ。
何のために頑張るのか釈然としないままスズ子に届いたのはタナケンが怪我をしたニュース。
目次
スズ子と愛子の日常
大野さんが手伝ってくれることでスズ子も愛子も無理なく生活することができる。
スズ子は愛子の子育てでいくつかの気がかりなことがあったようだ。
愛子はどうやらにんじんが嫌いで食べられない。
何とかして食べられるようにし向けるスズ子だが愛子はあっさり拒否。
子供の野菜嫌いとか偏食は頭ごなしに命令されたところで伝わるはずもなく。
愛子にしてみれば美味しければなんだって食べられるってことだろう。
大野さんの作戦は見事に成功。
2人だけの秘密ということで、スズ子には内緒。
家の中の仕事をてきぱきこなすだけではなく、愛子の面倒をよく見てくれることこそが大野さんの真骨頂なのかも。
スズ子に求められるもの
スズ子がレコード会社で打ち合わせをする様子が描かれていた。
東京ブギウギから連なる1連のヒット曲メドレーは後の作品になるほど売り上げが伸び悩む傾向が。
会社ではどうしても次にヒット作品を出してほしいと要求する。
しかし、ヒットするかどうかなんて蓋を開けてみなければわからないこと。
大スターのスズ子にとってレコードの売り上げは、結果としてついてくるもの。
彼女はステージで楽しく明るく歌うことこそが全てだと解釈。
その後の結果は本来彼女が気にするべきことではない。
プレッシャーに不安になるスズ子に山下マネージャーがアドバイス。
スズさんはのままでよろしいがな
それぞれの果たす役割は違って当然。
茨田りつ子とスズ子
大野さんを紹介してくれたことにお礼を述べに立ち寄った茨田りつ子の楽屋。
りつ子が突然大野さんを紹介したのには理由があった。
大野さんは戦争で家族の全てを失ってしまった。
同じように戦争中に家族を失っているスズ子。
スズ子も大野さんも相手の立場を理屈抜きに理解できる。
そんな2人の様子を見てりつ子はお互いきっと力になれると。
見事に作戦成功。
大野さんはスズ子と愛子の世話をすることで再び生きがいを見つけたように描かれている。
彼ら全員にとっても戦争経験は人生を大きく狂わせてきた。
大野晶子さんの半生
大野さんはもともと青森で呉服屋をしていたりつ子の実家の中だと語られていた。
わがまま放題のりつ子にきちんとしつけをしてくれたのは彼女だったらしい。
親たちも他の女中たちもみんなりつ子を放していたと語っていたね。
りつ子はある意味大野さんに育てられたようなもの。
大野さんは夫や子供孫たちを戦争で失っている。
この時代のことを考えると、同じような経験をした人は他にもたくさんいる。
特に昭和20年3月の東京大空襲では広島長崎に匹敵する10万人の犠牲者が。
全国のあちこちの都市も似たようなことがあったらしい。
今年は戦後79年目にあたる。
既にこの時代の記憶を持つ人は日本からほぼいなくなってしまう。
しかし大勢の人が亡くなったこれらの事実は、後世にきちんと伝えていく責任が。
さて、今日のエピソードの1番最後に飛び込んできたのはタナケン怪我のニュース。
モデルのエノケンも撮影中の事故が元で脱疽にかかり、右足を太ももから切断したと伝わる。
この後タナケンからは軽快な動きは失われてしまうことになる。
右足を義足にしてそれでも演技しようとしていたと聞いた。
人間いつ何が起こるのか全く予測できない。