ブギウギはついに残すところ1週間となった。
昨年後半から始まった福来スズ子の物語はここで完結することになる。
既に公式発表でストーリー展開も全て把握できる状況。
スズ子は年末の男女歌合戦でのステージですっかり燃え尽きてしまった。
物語は昭和31年12月31日。
今日から始まる1週間は開けて昭和32年のお正月が始まり。
スズ子は最後のステージを終えた後、体から力が全て失われるような虚脱感に襲われていた。
既に42歳になっていたスズ子にとって激しく歌って踊るパフォーマンスは厳しいものに。
しかし、1度ステージに上がったなら絶対にお客さんを失望させたりはしない。
スズ子の最後の砦手とも言うべきポリシー。
そうは言っても消耗するエネルギーは計り知れない
歌手を続けることこそが使命だと考えていたスズ子は、
“もう充分”との思いが見え隠れするように。
この際だからきっぱり歌手を辞めてしまおうと考え始めるスズ子。
しかし、今まで多くの人の助けでここまできたスズ子は自分の下した結論を周りの人に受け入れてもらうための説明責任が。
最初に相談したのは師匠の羽鳥善一。
彼は驚きを隠しきれず、さらには思いがけないスズ子の申し入れに狼狽。
もし歌手を辞めるなら、僕は君と絶縁すると言い放つ。
今まで二人三脚で歩んできた善一にとってスズ子の引退は、自分自身の音楽活動の終焉とも取れたはず。
マネージャータケシも引退発言を決して受け入れようとはしない。
ただ1人スズ子に親身に寄り添ってくれたのは、娘の愛子。
マミーの歌が聞けなくなるのは寂しい。
でもマミーがそうしたいのなら受け入れる。
愛子の子育てに苦労しっぱなしだったのエピソードが嘘のように、今日は唯一無二の身方になってくれるような。
目次
オールスター男女歌合戦
いよいよ本編のストーリーは残すところ5話に。
この朝ドラは物語がてきぱきと進み、気がついてみたらもう終了間際。
後半の2週間の展開を考えてみると、モデルのいる物語ながら、実際のところ物語はほぼ全て脚本家の創造によるものと推察。
ブギウギのドラマとしての値打ちを評価するなら、この脚色部分の展開こそが全てだと言い切れる。
最後に登場してきたスズ子のライバルとされる水城アユミはの物語の最初の頃に登場したスズ子憧れのスターの忘形見だった。
スズ子は彼女自身全力で歌いパフォーマンスした。
新旧対決と揶揄された歌合戦だが、結果としてはスズ子に軍配が上がったのかもしれない。
しかし、実際にステージで歌った2人の歌手はそんなことは気にしていなかったはず。
どれだけ自分らしく精一杯のパフォーマンスを披露できるか。
評価は自分が下すことではないので。
自分が納得できたかどうかで言えば、2人とも大いに満足できていたはず。
よる年波
スズ子はこの年42歳。
年が開ければ43歳になる。
今の歌謡界を見回しても、この年齢のアイドル歌手はさすがに見当たらない。
30過ぎた子たちなら結構たくさんいると思うのだが、それでも皆40の手前だろう。
昭和31〜2年40歳を過ぎて、アイドルのような活動をするのはさすがにしんどかったかもしれない。
水城アユミの登場は物語から見ても違和感なく感じられた。
羽鳥善一の反応
羽鳥善一こと服部良一について。
彼と笠置シズ子はセットで見なければならない。
笠置シズ子はほかでもない服部良一の弟子なので。
物語の中で、善一はスズ子の引退宣言に平静を保つことができなかった。
物語が最初の頃に用いたようなお笑い系のドタバタではなく、真面目な顔で本心を吐露。
作曲家として全身全霊で活動してきた善一にとってスズ子が歌手でなくなる事は、自分自身の音楽の大半が葬り去られることと解釈したに違いない。
生涯で3000曲に及ぶ作曲をしたとされる彼はジャズテイストの表現者としてスズ子とは切っても切れない関係にあった。
もし今後スズ子のように歌うことがなくなるのなら、善一の音楽もどこかの引き出しにしまわれることになってしまう。
さすがに言葉を失った彼はスズ子が引退してしまうなら絶縁するとまで言い放つ。
スズ子の決断
スズ子にとって納得できるパフォーマンスが披露できるかどうかが全てだったに違いない。
少なくとも懐メロの領域で歌手活動を続けようとは考えていなかったはず。
自分には無理だと感じ始めたら、そこから先は道がなくなる。
スズ子は自分にとって最も重要な決断だったが、誰かに相談する形を取りながら実際は孤独な中でひっそりと決断したように見える。
今までもそうだったが、スズ子は子供の頃から筋金入りの強情っぱり。
物語の中では誰かに相談する形をとってはいいるが、結論は既に出ている。
彼女は報告の形で相談していただけに過ぎない。
ここまでやってきたブギウギはいよいよ歌手活動に区切りをつけるスズ子の次なる可能性がメインテーマになりそう。