一般人が理解しているのは1台ン億円もすること
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彼の作ったバイオリンをストラディバリウスと言って世界中で賞賛されている。
彼は17世紀から18世紀にかけてのバイオリン製作者。
イタリアのクレモナの出身で、バイオリンをたくさん作ったとされている。
バイオリンに対する思い入れがことのほか強く、 200年以上経った今でも彼の作ったバイオリンはいまだに多くの人に愛され、支持され今日に至る。
一言で言うなれば音色が素晴らしいとのこと。
ただし、はっきり言わせていただくならば、一体どれだけの人がこの音色を聞き分けることができているのだろう。
バラエティー番組の中に格付けチェックなるものがある。
その中で、1台数万円レベルの初心者向けバイオリンと、名器と呼ばれる優れたバイオリンを弾き比べて、その音の成否を問うというもの。
番組の中でもそうだったが素人の我々が聞いただけでは、その音色の差はなるほどと思えるほど大きくは無いのだ。
もっとはっきり言えば、どちらがどちらなのか微妙でよくわからないのが大抵の人の本音ではなかろうか。
にもかかわらずストラディバリウスを始め名器と呼ばれるバイオリンは、オークションでも数億円レベルの値がついて取引される。
そして驚くことに、高額なバイオリンの複数が日本によって保持されているのだ。
バイオリンの値打ちは金額ではない。
その音色である。
しかし誰もが知る通り、値段だけが一人歩きしているのが現状。


楽器でなので 、弾いてみて音が出てなんぼである。
極めて古い遺物なのでもちろん展示することもあるだろうが、こういった楽器の今日の評価は、弾いてみてすばらしいから。
とにかく聞く人が聞けば素晴らしい音色だと誰もが絶賛する。
実はNHKの特番でストラディバリウスを科学的に研究してみた内容のものがあった。
そうしてみると、一般的な標準の楽器とずば抜けた差は出なかったとの結果だった。
ただ、、象に残ったのは、バイオリンを演奏する側の耳元で聞こえてくる音である。
ストラディバリウスを弾くと演奏者は自分自身がかつて感じたことのないような素晴らしい音色を感じるのだそう。
つまりこの楽器はどうやら聞くものよりも演奏する人を感動させる楽器らしい。
また、楽器はまるで心が通っているかのように毎日弾き続けなければ、楽器全体の性能を維持できないとも語られていた。
要するに響くか響かないかは毎日の習慣から生まれるらしいのだ。
ストラディバリウスを演奏してみたバイオリニストが、1週間ぐらい弾き込めばもっと良い音が出るでしょうねと。
良い楽器なので、やはり音を出させてあげるのが最善の保存方法なのだろう。
参考までに。
他にもあるバイオリンの名器


名器と呼ばれるバイオリンの製作者は、有名なところでは
- ストラディバリ
- ガルネリ
- アマティ
これらの作者がよく知られているところだが、調べてみると1番古いのが最後のアマティ。
どうやら最初の工房の製作者が彼で弟子の養成も行っていたそうな。
その弟子の内の代表的な2人がストラディバリとガルネリとのこと。
3人ともイタリア人であるところが興味深い。
同じ系統の製作者でありながら作風は異なっているようだ。
これらの作者のバイオリンは前述の通り、数億円単位で取引される値打ち品が多いが、当の本人たちはバイオリン作りにこだわりを持っていただけで、今日のような高値を想像する事はなかっただろう。
驚異的なのは、保存さえ失敗しなければ、数百年レベルで保つと言う事。
どんなものでもそうだが、今のような消費社会では100年単位でものが保つことなどありえない。
特に普段人間が手に取って使うものならばなおさらのこと。
これらのバイオリン製作者の手になるものは、驚くほどの精度で作られているらしい。
バイオリン製作にはいくつかの約束事があって、その範疇で製作者のアドリブがいくらか認められるらしいのだが、実際は大きく逸脱すれば、音そのものが出て来なかったりするようだ。
そういった厳しい制約の中で作られるらしいのだ。
バイオリニストとの関係



この人たちはコンクールでも優勝経験があってバイオリニストとして第一線で活躍中。
この中の諏訪内晶子さんと神尾真由子さんは以前ブログでアップしたことがある。
2人ともチャイコフスキーコンクールという世界最高峰の舞台で優勝経験があるのだ。
しかも2人ともストラディバリウスを使うことでも知られている。
この辺の人たちが使うバイオリンには名前をつけていることが多い。
諏訪内晶子さんのものは、日本音楽財団からの貸し出しで、“ドルフィン”の愛称で呼ばれる。
神尾真由子さんのものは宗次コレクションから貸与されている。
調べてみてわかったのだが、彼女が引いていたのは最初は日本財団からのもの。およそ10年弾いてそれを返して、ルネリウスを何年間か弾いたのだが、 2年ほど前から現在のストラディバリウスを演奏するように。
ちなみに諏訪内さんのものはストラディヴァリウスのバイオリンの中でも特に優れているとされた3本のうちの1本。
残りの2本が実はまだ展示されたままで、どの演奏家にも渡っていないようなのだ。
となると、これから誰か天才的なバイオリニストが現れたときに貸与される可能性が。
とにかく引き手の手に渡らなければ、バイオリンはいかに名器といえども力を発揮することができない。


こちらの2人は純然たるクラシックと言うよりは、ポピュラーミュージックも含めたソロ活動を行っているバイオリニスト。
高島ちさ子さんは、愛用のバイオリンを(ストラディバリウス 愛称ルーシー)個人で所有している。
バラエティー番組でちらっと発言しているが2億円とのこと。
個人で使用するには大変かなと思うのだが、音楽家の情熱は値段をはるかに超える。
音楽は値段ではないと思いたい
正直に白状すると、私は著名なバイオリニストの演奏を生で聴いたことがない。
いかなる場合も生演奏にはかなわないと信じている自分がいて、果たしてどの程度のことを自分は経験しているのかと自問自答したりもするのだ。
ストラディヴァリウスの生の音色を実際にこの耳で聞きたいのである。
やはりどこか大きな都市までいかなければその願いは叶わない。
昔から芸術関係は自分でも経験して学んできたが、芸術そのものは基本的には貧しいものと理解している。
あの画家ゴッホの絵も彼が存命中に売れたのは、弟がお情けで買ってくれた1枚だけである。
また主な作曲家で存命中に大成功を収めたと言えるのはほんのわずかだろう。
今日に名前が残っている、モーツアルトや、シューベルト、ショパンなどかろうじて活動できていたぐらいで、その生涯はほとんど報われる事はなかったと記憶する。
つまり、基本、芸術は貧しい中で生まれてきた。
1台数億円のバイオリンは、明らかにこのマインドには逆行している。
それだけ多くの人からコンセンサスを得ているのだから、それだけの値打ちをどうしても自分で確かめてみたいのである。
いくつかの夢があるが、その1つがこのこと。