既に、何度もブログで書くように私は無類の映画好き。
最近、特に4DX3Dにはまっていて、あの座席が動いたり水煙がかかったりなどのアトラクションとも言える映画を一度体験してからは、チャンスを見ては、あしげく映画館に通う。
そうなると、どうしてもアクション映画を中心とした娯楽映画に終始してしまうのだが、かつて若い頃映画館で見た映画の中で忘れられない作品もいくつかある。
その中で、あえてあげたい映画が1つ。
それは「死刑台のメロディー」。
アメリカの暗黒時代の負の遺産とも言える人権に関わることを描いた映画。
歴史の告発とも言えるべき作品だったのだ。
目次
史実に基づいた映画 (原題 サッコとバンゼッティ)
1920年代のアメリカ、この頃のアメリカは第一次世界大戦の頃で、アメリカの中でも好景気が頂点に達し、その結果1929年の世界恐慌の引き金を引くに至った時代。
そして政治的には禁酒法が敷かれ、アルカポネが暗躍した時代でもある。
私の記憶の中では、アメリカの中では暗黒の時代と呼ばれる。
この当時、アメリカが政治的に恐れていたのは共産主義の台頭。
資本主義社会であるアメリカは、共産主義者が国内に存在することすらも嫌っていた。
その結果、とある強盗事件の犯人としてイタリア系移民の2人が逮捕され、そのまま裁判を受けた結果、有罪とされて死刑執行に至った事件。
今でもいろんな意見が交わされるが、この事件は誤認逮捕と呼ばれる。
つまり、後から無実であることが証明されるにもかかわらず、司法当局は最初の判決にかたくなに固辞し、死刑を執行してしまうのだ。
歴史的には「サッコとバンゼッティ事件」として広く知られることに。
映画はこの事件に基づいて作られている。
どこまでの取材をして映画を作ったのかは今となっては知る術もないが、当時、19歳の頃だったと思うが日比谷の映画館で封切りの映画として見た記憶がある。
映画の内容は、無実の罪で捕らえられた2人が、少しずつ有罪が確定する流れとなり、様々な嘆願書や、捜査のやり直しなどを求める運動が起こるのだが、司法当局はいったん決めた内容を覆す事はなく、そのまま死刑に至る流れに乗るしかなかった。
映画館で見ていた感想だが、何せ古い記憶なのであまりはっきりしない部分が多い。
今から47年前と思われる。
物悲しいバックミュージックに乗って、悲しげで苦しげな男たち2人の様子が繰り返し描かれていたと記憶。
およそ華やかな女性と絡むシーンとか、笑顔とかキスシーンなどあるはずもなく。
ひたすら事件のあらましを探求して淡々と述べていく内容だったと思う。
それでも、描き方に何かしらの訴えるものがあったはず。
映画の内容もほとんど記憶に残っていないにもかかわらず、私の中では、自分の人生観を変えるに至った優れた作品として今でも記憶に残る。
映画は、歴史的な不合理を告発する内容。
およそ収益を上げようとか、人々を楽しませようなどと言うコンセプトは全く伴っておらず、ひたすら悲運に見舞われた男達2人を描くことに徹していたのだ。
映画が終わった時に、エンドロールが流れで、劇場内が明るくなるが、その時に映画館の中に拍手がわき起こったことを今でも鮮明に記憶している。
欧米では劇場で良い作品に触れたときには皆スタンディングオベーションをして拍手をする習わしがあるようだが、日本の映画館でそういったことを見たのは後にも先にもその時だけだったと記憶する。
見ている人は全員が感動したに違いない。
映画より有名だったのかも 主題歌
ジョーン・バエズJoan Baez/勝利への讃歌Here's To You (1970年)
映画以上に主題歌が有名になったことでも知られるだろう。
ジョーンバエズは当時反戦を旗印に歌うフォークソング歌手としてアメリカ国内にかかわらず大人気だった。
その過激な発言もあって、国外追放の憂き目にあっている。
徹底した反戦主義者だった。
その彼女の歌った主題歌が、ラジオなどであちこちで聴く機会があって、そのたびに名曲だなと感じ、それがもとで映画を見るきっかけになったと思う。
ちなみに、記憶の中にはっきり残っているのは、この主題歌は映画の中では最後まで全く出てこない。
何度も主題歌を聴いていた私にとって、映画の作品の中でどこかで何回かかかるんだろうなと期待も持っていたが、そんな事は全くなかった。
なんとこの曲は最後のエンドロールのところで何の前触れもなくたった1度だけ歌われる。
この曲の値打ちをさらに大きく高める効果的な演出だと今では納得している。
曲自体も、非常にシンプルでリフレインを多く使って耳に残るセリフを繰り返す。
この当時のことを曲が流れるたびに思い出すが、最近は全く耳にすることもなくなった。
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私が20歳の時に受けた衝撃
長いことフランスのシャンソン歌手ジョルジュ・ムスタキがこの勝利への参加のオリジナルの歌い手だと思っていたが、果たしてどうなんだろうか。
ひょっとしたら曲の素晴らしさに感動したムスタキがリカバーしたのではないかと思うことも。
映画を見た翌年にムスタキのレコードを買った記憶がある
実は、ジョーンバエズのレコードは持っていないが、ジョルジュ・ムスタキのレコードは所有しているのだ。
シングル版なので45回転である。
この45とか33に反応する人は私と同世代のかなり古いタイプの人。
レコードの回転数を表す言葉だが。
若い頃、様々な音楽に興味があった私のお気に入りの歌い手の1人だったのがジョルジュ・ムスタキ。
他にもシャンソン歌手ならばエディット・ピアフやジョルジュブラッサンスもレコードを所有。
シャンソンには独特の味わいがあって、当時なぜか多く聞いた記憶が。
この映画を見たときに、実は、自分の人生観が書き変わるほどの衝撃を受けたと思う。
それまでは、努力とか真面目に行動するとか、そういったものが自分の中では1番評価されるべきことと考えていたが、映画を見て思い知らされたのは、大きな流れの中に入ってしまえば何をどうやっても流れに押し流されてしまうということ。
そのような流れの中に入らないようにするための方法があるならば、きちんと学んで実践しておくべきだろうと。
さて、後から知ったことだが、この映画はその年に封切られた映画の中の人気映画の中の十選の中にも選ばれた。
はっきりって娯楽映画ではない。
この映画で何か楽しいことを見ることができると思ったら完全にあてが外れる。
しかし、映画が好きだと思うなら一見の価値はあるはず。
映画芸術が果たさなければならない役割をこの映画を通して学ぶことができるはず。
まとめ
この映画館で見た記憶がある。
今はもう存在していない。
この映像は映画館の最後の公演のときの様子らしい。
この当時の映画館は人気作品はこうして皆、列をなして並んだのだ。
そして映画館の中に入っても座席に座れるとは限らない。
映画館の立ち見は当たり前だった。
私自身も何度も立ち見で映画を見た記憶が。
そして今のシネコンのような映画館と違って、一旦中に入ってしまえばエンドレスで映画を上映していた気がする。
多少の休憩時間はあったが、すぐにまた上映するので映画の途中から入館して最後まで見てそして観客の移動があるので、その隙に自分が座るべき椅子を見つけるみたいな事はしょっちゅうやっていた 。
昔見た映画は大体そんな感じで、ロードショー以外は2本立て、3本立ては当たり前。
私がよく見ていたのは深夜映画で、5本立て7本立てなどもあったと記憶。
そして、ロードショーで見るときには当時でも 1400円位したと思った。
安い場末の映画館は500円以下で入れたと思う。
新宿などでよくお世話になった記憶が。
映画館で映画を見る習慣は最近になって復活してきている。
また、還暦の過ぎた私は格安料金で割引されるので、利用しやすい利点もある。
小学生の頃から時々は映画館でも映画を見て、大抵の場合はテレビで見ることが多かったのだが、映画は人生になくてはならないアイテムとなった。
いくつか これはと思う良い作品にもであったと思う。
“死刑台のメロディー”はそうした良い映画の中で、私にとって最初の作品である。