昭和初期を描く物語としては避けて通れないのが太平洋戦争。
おちょやんでは物語の中で最も重要な部分がちょうどこの時期にあたる。
物語の中でも何人かの人が戦争がらみで亡くなる報道が。
さらには生き残った人たちにも過酷な試練が待ち受けていたのだ。
それでも、頑張って前に進もうとする千代ちゃんたち。
今週はそういった過酷な運命に翻弄され、それでもめげずに努力する人たちの物語が描かれる。
目次
大阪大空襲 道頓堀を襲う戦禍
昭和20年になると、日本は前線基地の南方の島々のほとんどを失い、制空権も支配されてしまっていた。
そこで始まったのがB29による全国への大空襲。
3月の10日に東京の大空襲が始まったのを皮切りに全国至る所で空襲を受けることに。
大阪は3月13日から14日にかけて1回目の空襲。
この時を含めて終戦直前まで八回の空襲を受けた。
おちょやんではこのときのエピソードをもとに道頓堀が壊滅的な被害を受ける様子が描かれる。
普通に家で暮らす事はこの当時はもう叶わなかったのだ。
何よりも楽器店をやっていた福富は瓦礫と化した。
さらに、岡安もかろうじて残ってはいたが、およそそこに人が住めるようなことにはならなかったようだ。
空襲で失ったのは建物だけではなかった。
身近な人たちの中にも犠牲者が。
生き残った者たちは、家族を亡くしたことに激しく自分を責めていた。
誰のせいでもないが、日本人の場合 特に自分のせいにする癖がある。
ここで受けたダメージは計り知れない。
福助の戦死 寛治の満州出征
ミツエちゃんの夫福助君にも戦死報告がやってきた。
劇団員の百久里も戦死とのこと。
残された家族は追い討ちをかけるかのようにさらに攻めさいなまれる。
そんな中、家族同然だった寛治君は満州での慰問劇団の活動に加わることに。
自ら志願して満州行きを決めた。
寛治君の思いは純粋無垢なもの。
一平君と千代ちゃんに家族同然に扱われていて、彼らの真心を自分のポリシーとして受け止めていた。
がんばって誰かの役に立ちたい。
切実な思いで志願していた。
大反対する千代ちゃんと一平君だが、引き止めるには至らなかった。
終戦
終戦を迎えた時に、ほっとした人たちも多かったのでは。
皆戦争に向かって心を1つにして戦っていた自覚があったゆえに、終わったときには自らの罪を責める人たちも多かったと聞いている。
特に日本の指導者の中には、自殺する者も何人かいたようだ。
一平君も千代ちゃんも自ら罪を犯したと激しく自分を責めていたが。
誰もが間違えていた
これから正しい方向へ直すのや
さらには彼らに残ったものは芝居しかない。
戦後すぐに劇団を復活させるべく行動を起こす。
今後のことを考えれば、道頓堀での公演は不可能。
提案されたのは全国行脚。
この頃から全国を回る様々な劇団があったような記憶。
しかし、初回の公演だけは道頓堀でやりたいとの千代ちゃんの切なる願い。
福富の跡地でなんとしてもミツエちゃんを励ましたい。
記念すべき戦後初の公演が催されることに。
選ばれた演目はマットン婆さん。
後半物語をひねって、新たな登場人物も加えられている。
道頓堀の復活をかけて
1週間の一番の見せ場が物語的にここだったと思う。
もちろん女優たちのあちこちで演じられた演技の素晴らしさは他にもたくさんあったが、ストーリーの上ではこの最後の5分間が戦争中のエピソードとしての頂点にすえられたはず。
物語の中に急遽登場することになった一福君。
ならないはずのトランペットが何故か音が出てしまって、周りのベテランの役者たちがすかさず対応する。
1番嬉しかったのは笑うことを忘れてしまっていたミツエちゃんが初めて笑ったこと。
1番絵になるシーンだったかもね。
この公演がきっかけでミツエちゃんはたくましく復活するのだ。
最後のわずかな時間で描かれた来週の予告編。
あの喜劇の第一人者とされた万太郎に何か異変が起こっているような。
残りわずかとなったおちょやんだが、実は戦後も様々なエピソードが描かれるはず。
いくつかある中で、来週描かれそうなのは寛治君が生きて帰ってくることが挙げられそうだ。
ほんの1 2秒しか写っていなかったが千代ちゃんの弟ヨシヲ君が登場していたよね。
こういったことも含めて、戦後の復興を描くためには戦争中のエピソードの後始末もいくつか語られると思う。