残り1週間となったおちょやんの前週に当たる1週間のあらすじ。
道頓堀を出た後はおよそ1年間音信不通を通していた千代ちゃん。
この頃戦後の復興期に当たっていてラジオドラマなどが全国で放送される時代を迎えていた。
そんな中大阪で始まった新しいドラマ作り
お父さんはお人好し
大人気だった漫才師を主役のお父さんに迎えてその奥さんの役柄を誰にしようかで思案が巻き起こる。
白羽の矢が当たったのが竹井千代。
彼女が最初は戸惑いながらも仕事を引き受け、ラジオドラマを大成功させる一翼を担うことに。
そして新しい家族となった栗子さんと春子ちゃんは栗子さんが亡くなることによって、春ちゃんは千代ちゃんと養子縁組をすることになる。
目次
女優復活で蘇る感覚
女優復帰のきっかけとなった事は春子ちゃんの学校でのエピソード。
千代おばちゃんからのアドバイス通りにやったらうまくできたとのことで、実はそのことが千代ちゃんの女優復帰を決心させる決め手に。
一旦復帰を決めた後の集中力はかなりのもの。
台本を夜通しで読み返して、様々なセリフの状況に応じて自分自身の役柄を確認し作り上げていく。
かつて舞台女優で鍛えられた感覚がよみがえってくる。
舞台女優で演技をしていた時はなんといっても須賀廼家千之助からアドリブなどの対応を厳しく鍛えられた。
自分の演じる役柄をしっかりと理解できていなければ到底不可能な対応力。
そのため、準備は入念を極めたのだ。
そして作り上げた自分自身の役柄はドラマのイメージにもぴったりで当郎さんとの絶妙のやり取りで大人気を博すことに。
チヨ子おかあちゃん
描かれたドラマは藤森家、果物屋さんを営んでいるが、子供が12人と孫が1人のとてつもない大家族。
その家族のひきこもごもの日常が描かれる。
当時のご時世は戦争直後の復興期。
物語の中の家庭でも二女の乙子ちゃんは出征した夫が未だ戦地から戻らない中途半端な様子。
巷ではこういった女性たちを戦争未亡人と呼んで注目されることもあったようだ。
どこにでもありそうなエピソードを物語の中に組み込んでドラマは巧みに作られる。
千代ちゃんは母親として独特の持ち味を出しながら、物語の中の彼女の呼び名
チヨ子おかあちゃんとして知らない人がいないほどの存在に。
それは彼女の人柄も当然あったはず。
女優業だけにとどまらず周りのスタッフや同じ俳優仲間の良い相談相手でもあったようだ。
特に5女役の祥子ちゃんのエピソードはわざわざ時間を割いて詳しく語られていたね。
自分の一番身近な存在である家族の事は意外と灯台下暗しでわからないもの。
家出をしてしまった祥子ちゃんを自宅に宿泊させて、自分自身の家の本当の居心地の良さを説明してあげる。
毎日味わっていると慣れっこになっちゃってそのありがたみを感じることがない。
この辺の的を得た説明は、千代ちゃんの壮絶な人生を考えれば有無を言わさず納得できると言うもの。
そんな物語の中で、大人気を受けて1時間の特別版の放送も決定する。
ここでも一捻りあって、脚本家の長澤先生が急病で倒れる事態。
本番のほんのわずか前に届いた脚本でも、出演者スタッフ一同はみんなで力を合わせてぶっつけ本番の1時間枠の放送を終了させることになる。
届いたのは膨大な数のファンレター
こういったファンレターの存在も当時の様子をよく表していたと思う。
最近のご時世ならバレンタインのチョコとかに相当するのでは。
栗子さんの本当の思い
おちょやんではずいぶん早い時期から千代ちゃん宛に花籠が届いている様子が描かれていたよね。
多分彼女が20歳位の時からだと記憶。
つまり20年以上の長きにわたって端を送り届けていた人が存在していて、その人が誰なのかはちょっとした話題になったもの。
実はその主が栗子さんなことが明らかに。
彼女は自分の子供を持つことによって、かつて家を追い出してしまった千代ちゃんを思わない日がなかったようだ。
ひどいことをしてしまった
そんな思いで暮らしていて、いつか何か罪滅ぼしをしたいと考えていたようだ。
時間が経って千代ちゃんが女優になることがわかってわざわざ見に行っていたようだ。
その結果彼女の芝居が大好きになったと述懐していたね。
おちょやんの放送回数の中でも半分以上を占める長い時間をかけて貼られていた伏線。
私もそうだが大勢のドラマの視聴者たちがこのことを大絶賛。
ドラマの値打ちを極限まで高めたと言える。
また演じていた女優たちの演技も見事としか言いようがないほど秀逸なものだった。
おばあちゃんの役柄を巧みに演じていた。
わざわざ低いしわがれた声を努力して発声していたとも聞いたね。
新しい家族の出発
栗子さんが亡くなった後春ちゃんを養子にしたいと申し出をする千代ちゃん。
しっかりと向き合って答える春ちゃん。
死んだお父ちゃんとお母ちゃんも好きなままでええ?
あたりまえだす!
きちんと向き合うことができている親子に心から祝福したいと思ったのは多分見ている人みんな。
そんな感動的なシーンの後来週の予告編が。
どうやらかつての仲間鶴亀新喜劇とのエピソードが用意されているようだ。
一平君、岡福の人たち、そして役者仲間。
それぞれの人たちとのやりとりが描かれてこのドラマは完結するようだ。
今さら言うのもなんだが、ここへきて後半は本当に盛り上がるストーリーになっていたと思う。
制作スタッフのご苦労をねぎらいたい。