くわちゃんの独り言

音楽や映画が大好きな爺さん。長年の経験から知りえたことを発信します。

青天を衝け 栄一が学ぶご時世

 

幕末から明治維新にかけての緊迫した時代考証がドラマの中でもしっかりと描かれる。

考えてみれば、今を生きる私たちはテレビやインターネットを始め様々な情報ソースの恩恵に浴している。

幕末の頃だと、誰が誰かすらもままならない状況だったのだ。

将軍がどんな顔をしていて、どんな声をしているのか、側近にいる者しかあずかり知らないところ。

渋沢栄一が1念奮起して一橋家に使えるためには、相応の約束事も必要だったようだ。

今日はそういった情報不足の時代に誰がどんな活躍をしたのか詳しく語られる。

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おそらく初めて地球儀を見たんだろうな

目次

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一橋家に仕官するための儀式

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突然馬列の前に飛び出す

栄一と喜助が一橋家に仕官するにあたって条件をつけた。

それは一橋慶喜に直接自分の意見を聞いてもらうこと。

その上で納得していただいて召し抱えてほしいとの希望を。

結論から言って、これはあまりにやり過ぎな行為。

下々の見ず知らずの者が一橋家の当主の前に出ることなどおよそありえない。

今でも、国民は平等と言いながらも上級国民だの、様々な言われ方をして我々が著名な人に会うためには、かなり複雑な約束事をこなさなければならないのと同様に、この時代栄一のような若者が一橋慶喜に謁見することなど考えられなかった。

一計を案じて平岡円四郎が、策を授ける。

突然現れて馬の行く手を遮って、自分たちの名前を連呼しろと。

下手をすれば切り殺される可能性だってなきにしもあらずだが、この作戦が功を奏して慶喜に謁見できる。

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ちなみに栄一は盛んに意見を述べたが慶喜はだんまりを決め込んでいた

渋沢栄一の回顧録の中にも徳川慶喜とのやりとりが何箇所か証言されている。

徳川慶喜は自ら口を開いて意見を言う事はかなり少なめだったと。

ただし、とても聞き上手で相手の話をじっくりと聞いていたと述懐していたね。

今回もそんなやりとりの様子がかなり面白く描かれていたと思う。

興奮した栄一が拳を振り上げたところまで、慶喜はただじーっと話を聞くだけ。

この辺の描き方が、史実に忠実だなぁと私的には感心。

栄一たちが知らなかった世の中の様々な動き

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当事者から詳しく聞いた話では新たな事実が

平岡円四郎が世の中の情勢について詳しく語って聞かせるシーン。

攘夷思想が既に何の力もない熱病のようなものだと改めて思い知らされる。

外国人を討ち払って日本を守る発想は、何の根拠もないその場限りのものだと納得せざるを得なかったのだ。

むしろ日本の国を守るためには、相手のことをよく知ってその上で頭を働かせて対応をしなければならない。

そのために徳川幕府や一橋慶喜は日々奔走しているのだときかされた。

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一橋家の中は今で言えば役場のようなもの

実際にドラマの中で仕事ぶりを見てみなければ、当時の様子など分かるはずもない。

時代劇でよく見る奉行所のような仕事場で、算盤を弾くものや文字をひたすら書き込むもの、書棚のようなものがたくさんあって忙しく人が行き来する。

栄一たちもそこで一旦は仕事を始めるが、この後少しずつ状況は変わっていくだろう。

とにかく世の中は大きく動いている。

毎日、事務方が机に座って仕事が出来るようなそんなことでもなさそう。

朝議参与のからくり

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朝廷と幕府 外様大名たちとの勢力争い

この時 朝廷も幕府も、様々な外様大名たちもそれぞれが勢力争いを演じていて、誰が主導権を握ると言う事でもなかったのだ。

もちろん立場上は天皇家がトップにいなければならないが、意見を言ってくる者たちになびいて考え方が二転三転する有様。

特に、徳川幕府が全体を掌握できないまま外様の薩摩藩や長州藩が取り入って、自分たちの意見を強要するようなそんな流れにもなっていたようだ。

長州も薩摩も基本的には徳川幕府に敵対する勢力。

彼らはことあるごとに逆らって朝廷をそそのかして幕府の様々な行政の邪魔をしたことが想像できる。

朝議参与の存在も基本は薩摩藩が朝廷に取り入ってわざわざ編成させたもの。

6人の代表が朝廷の諮問機関として仕事をするのだが、幕府はその6人のうちの1人としてしかカウントされていない。

本来ならば朝廷のすぐ下に幕府があって、そこから様々な藩に指示伝達がいくはず。

既に朝廷そのものが弱体化し始めていて、人に言われるがままに意見をコロコロ変えている始末。

一橋慶喜の活躍

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一橋慶喜 参考たちの前で多見えを切る

一橋慶喜の優れた点は、自分たちの利益のために日本を我が物にしようとする動きを敏感に察知して、その企みを未然に防いだこと。

慶喜は、朝廷に取り入っている薩摩藩を牽制する。

彼は、朝廷に直談判して、薩摩藩の意見を取り下げさせた。

一橋慶喜を演じている草薙剛はSMAPの一員だった事はよく知られているが、役者としても折り紙付きの名優。

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新宿スワンにて。アカデミー賞の主演男優賞受賞している

昔からいろいろな役で登場してきていたので、演技がうまいと言う印象を持っていたが。

今回は歴史的な人物を演じて、しかも時代劇だが、彼の持ち味を遺憾なく発揮しているのでは。

SMAPの元メンバーたちは皆それぞれ役者として活躍しているが、あらゆる役柄をこなせる点では草薙君はトップに位置するかも。

揺れ動く時代

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幕末まで天皇は京都御所を住居にしていた

とにかくこの時代は、天皇家も代替わりが進んでいて力のある人はいなかった。

さらに、徳川幕府もドラマの中で盛んに言われるようにすでに死に体。

幕末から明治維新にかけて日本では大勢の志ある若者が命を失った。

尊王攘夷の名のもとに倒幕運動に身を投じた者たちはそのほとんどが捕縛され処刑されたと聞いている。

また、暗殺なども横行した。

当時の有名な人物に坂本龍馬がいるが、彼も暗殺された組である。

来週の予告編の中で西郷隆盛がちらっと出ていたが、西郷隆盛が出てくれば、当然勝海舟も出てくるのでは。

歴史的に著名な人たちがたくさん出てくるので、主役の渋沢栄一の影が若干影薄く感じてしまうのはやむを得ないこと。

このドラマは、明治維新を過ぎれば渋沢栄一の本来の業績が語られるようになる。

その点を詳しく紹介してこそ青天を衝けはきちんと値打ちが出てくるものと思う。