物語は1180年。
源頼朝は鎌倉にきたるべき幕府を築きあげるため様々な準備を。
この頃は、「吾妻鏡」に詳しく語られる歴史的事実が連なっていくが、そこは三谷脚本。
物語の信憑性に傷をつけぬよう、独自の解釈を加えつつ違和感のないストーリー展開。
頼朝は平家を打倒すべく着々と力を蓄えつつ、勢力を拡大していた。
その時、中心的な役割を果たしたのは北条義時。
義時はちょうどこの頃、失恋を経験。
さらに頼朝は妻政子が懐妊。
頼朝にとって跡継ぎとなる男子の誕生はなんとしても望むところ。
この事実に基づき巧みな物語が展開される。
時代は、まだ魑魅魍魎が跋扈していたとされる摩訶不思議な世界。
現代のような常識的な科学的な根拠には程遠い。
時代の流れをしっかりと見据えながら、その影で思いを吐露する女性たち。
さらには、手柄を立てんが為、自己顕示欲をたぎらせる源義経。
登場人物たちの想いを表しつつ、物語は平清盛死去の前後について描かれる。
目次
義時失恋
物語の最初の頃のエピソードで、登場人物たち、とりわけ男女の仲が大きく取り上げられるのは興味深いと言える。
子供の頃から八重にぞっこんだった義時。
その事実を知った頼朝は2人の中を取り持とうと画策。
2人を引き合わせ八重に気持ちを尋ねたところ、即答で却下。
お断りします(キッパリ)
一気に意気消沈する義時。
その後は人目もはばからず号泣。
この辺をユーモラスに描くのは脚本家が最も得意とするところ。
子供1人産んだ経験があるとは言え八重はまだまだ女盛り。
周りの男たちも妙齢の娘を放っておくはずもなく。
しかし、彼女は最初の夫源頼朝を今でも慕っていた。
2人の間にできた男の子を失い、新たな男に嫁ぐことなど考えられなかったようだ。
鎌倉幕府を成立させるために
源頼朝の鎌倉の御用邸が完成する。
時は1180年。
この時より源頼朝は佐殿改め鎌倉殿と呼び名を変える。
そして鎌倉殿の側近たちは家人から御家人と呼ばれる存在に。
御家人と鎌倉殿の主従関係がこれより後の時代の武家社会の基本となる形に。
それは御家人が自分の領地を支配し、さらに御家人たちを束ねる存在として幕府があるわけで。
このシステムを後の世に伝えられるような形に作り上げたのが北条義時とされている。
鎌倉殿の13人はすでにメンバーは写真のように決まっているのだが物語的にはまだビジュアルが発表されてない人も4名ほど。
これから後、決まってくるものと思われる。
この番組を最初から見ているものとして、
なるほどと思うのはこの13人の中に上総広常は存在しない。
調べてみると彼は早々と粛清されていた。
平清盛死去
物語の中で圧倒的な存在感で周りを威圧する平清盛。
彼は、打倒源頼朝を目標に挙兵するが、志半ばで病に倒れて死亡することに。
熱病におかされて死亡したとされているが、その熱はお湯が沸くほどと歴史書には伝わる。
実際はそんな事はありえないので、この物語の中でも怪しげな祈祷師の調伏法によって呪い殺されたような描かれ方になっている。
呪いとか怨霊とかがまことしやかに信じられていた時代。
不気味な要素を残しつつ、歴史的な事実もしっかりと取り入れながら物語は巧みに構成されているね。
北条政子懐妊
源頼朝にとって跡継ぎ問題は極めて重要。
正室政子との間についに子供が授かることに。
最初 女の子を出産していたが、実は物語の中ではまだ描かれていないが、彼女には男の子が2人生まれることになる。
歴史的には、鎌倉幕府の2代将軍と3代将軍。
今日の物語をよく見ているとわかるが、頼朝にとって最初の子供は自分の姑によって殺されているので、その殺された子供を間違いなく成仏させるためにいけにえが必要みたいな描かれ方。
子供を妊娠すると同時に、裏で得体の知れない策略が動き始める。
頼朝の値打ちは、物語を見ていてわかるのはやはり血筋。
彼は清和天皇の流れをくむれっきとした武家の棟梁。
その血統こそが唯一周りのものに説得力を持つ。
正当な跡取りが欲しくて仕方がないのはよく理解できる。
男子誕生を希望するがために犠牲となった人々
頼朝の最初の子供千鶴丸は姑によって亡き者にされた。
頼朝はその事実をよく理解している。
そのことを当時流行の占いで、息子を殺した者たちを粛清しなければ、男の子の誕生は望めないと頼朝に進言する者がいたのだ。
このような描かれ方は、見ているものを大いに納得させる。
歴史書に残るのは伊藤祐親親子は自分の孫を殺したことを悔いて切腹するとされているようだが、今日の物語では違った事実が投影されていたね。
物語の中で暗躍していたのは梶原景時
彼は、頼朝の影の秘書のような働きをしていた。
頼朝には表立った家来たちと裏で非合法な汚れ仕事のようなものを引き受ける影の家来とも呼べるものたちがいたようだ。
その代表が梶原景時。
頼朝の命を受けて、邪魔な存在を粛清する役目も彼が担っていたようだ。
最新の研究では源義経が頼朝に粛清されているが、その時、裏で暗躍したのが梶原景時とされている。
歴史の影に隠された真実⁉️
物語の中で歴史には出てこない登場人物の存在がとても大切だったりする。
この得体の知れない坊さんが、平清盛を呪い殺したかのような描かれ方。
時代背景を考えると、それは大いに納得できる。
そして伊藤祐親の下人だった善二。
彼は汚れ仕事を一手に引き受けていたよね。
その彼が今度は梶原景時の手下となって汚れ仕事を継続。
もちろん歴史に乗っているわけではないが、歴史的な辻褄がきちんと会っているのが三谷脚本の凄いところ。
さて、ドロドロした物語はさらなる展開を見せて来週に続く。