今週から担当することになった脚本家は再び桑原亮子さん。
人間関係の心のひだを巧みに描ききる。
今週、物語の中心になるのは悠人。
彼は、おそらく人生で初めて挫折を経験したのでは。
描かれたエピソードの中でも、彼は自分に対して失望し自分を奮い立たせようとする気持ちを持ち切れないでいた。
もともと、人は挫折して初めて学ぶもの。
失敗のない人生では、おそらくほとんどの人は成長できないものと思われる。
悠人がこれから失敗を乗り越えて復活するために、周りがどんな風に関わっていくのかが詳しく描かれた。
それは舞やめぐみだけではなく、望月家も関わることになる。
人と人との関わりにおいて、お互い励ましあい協力し合うことがどれほど大切か。
わずか15分しかない放送枠の中で、悠人がどのように挫折し、後悔し、そして今まで持ち得なかった家族との関わりを復活させ、前進していくのか。
緻密に描かれた物語は、俳優たちの名演に支えられ、驚くほどの存在感と説得力を持って迫ってくる。
所々に出てくるセリフのひとつひとつが我が事のように感じる視聴者も多いのでは。
立場は違えども、自分自身が悠人だったり、舞だったり、めぐみだったり。
人によっては、望月家の佳晴だったり久留美だったりしたかもしれない。
そんなふうに感情移入させる優れたストーリー。
目次
雨中の悠人
物語の設定では、酒を飲んで酔っ払いと喧嘩をしてしまったとのこと。
自暴自棄な人間は、すれ違った人とほんのわずかに目線があっただけでも喧嘩売られたと勘違いする。
おそらく複数の人間とやりあったものと思われる。
ボコボコにされた後、雨の公園でそのまま倒れ込んでしまったところ。
もし、このまま発見されなければ、命に関わる。
確か時期的に11月に入っていたと思うので、雨といってもかなり冷たい雨。
誰かに発見されなければ、最悪の事態も免れない。
悠人を助ける望月家
たまたま公園を通りかかったのが久留美の父佳晴。
運良く倒れていた人間が悠人だと気がついてくれた。
やはり、人との関わり合いはとても大切なんだと思う。
もちろん、たまたま知り合いだっただけで、赤の他人であったとしても、同じような行動をとったはず。
ただし、その時は救急車を呼んだだろうけど。
今回は自宅のアパートまで連れ帰った。
ここで大活躍したのが久留美。
悠人が低体温症になっていることを素早く察知。
看護師として適切な処置を施す。
この時、悠人は気絶したまま。
目が覚めたとき久留美に解放されていることに気がつき、その時、彼がとった行動が迷惑料として10,000円札数枚を彼女に渡そうとしていた。
そのことに激しく反応する久留美。
悠人がどんな状況に置かれているかわかっていたんだろう、舞やめぐみがどれだけ心配しているかを伝えながら、ちゃんとわけを話して助けてもらわなきゃダメだと!
悠人は自分勝手な反応しかしていなかったが、厳しく指摘されればその通りなわけで。
岩倉家
久留美から連絡を受けた舞とめぐみが望月家までやってくる。
ここで初めて悠人と再会することに。
めぐみも舞も悠人が自分以外の人と交流を持たないことをかなり心配していた。
悠人は自分自身の力だけで、ここまで成功することができてきたが、たった1度だけ投資で大きな穴を開けてしまったようだ。
確か、29億の損失だと記憶しているが。
あまりの損失の多さにびっくりして何とかしなければと考えた悠人は思わず、インサイダー情報に飛びついてしまったらしい。
そこで、違法行為を犯してしまう。
めぐみも舞も悠人は大切な家族。
たとえ間違いを犯して失敗し、挫折したとしても、そこにいさいすればとりあえずはマシだと考える。
何の連絡も取れずに行方不明な状態では、そのほうがよほど心配。
舞はいちど信用を失ってしまえば、後から取り戻す事は難しいと語っていた。
そして、めぐみはたとえ何度失敗しても少しずつ取り戻す事は可能と語った。
義母と娘の見解は多少は違っているが、どちらも間違いなく正しい。
信用を失うことを恐れれば、間違いには手を出さないのが1番。
しかし、間違えて失敗してしまったとしても、頑張ればやり直せる可能性だってある。
2人の女たちの励ましは悠人にも染みただろう。
浩太の遺言
父浩太が回想シーンと、セリフで登場していた。
息子とは、会えば喧嘩ばかりでまともに意見を交わすこともできなかったが、投資家として悠人の才能を評価していたようだ。
そして、それは誰にも真似できない大変な実績だと。
そして、悠人には稼いだお金で何がしたいのかを明確にする必要があるとも語っていたようだ。
そして、息子と再び話し合うことができるように、自分の夢を諦めるわけにはいかないと。
悠人への励まし
悠人は今回の事件で、自分はもう終わりだと考えたようだ。
確かに、投資家としては一度失敗したレッテルを貼られてしまえば、そこから先の未来は閉ざされてしまう。
しかし、それで人生全てが終わってしまうわけではない。
やりようによってはいくらでもこの先返り咲く事は可能なのでは。
そのことを舞とめぐみの励ましによって導かれる。
何よりも、父浩太の歩みノートは岩倉家のバイブルのようなもの。
家族の絆が確かなものであることの証が、ここにはしっかりと記録されていた。