植物学を目指すことになった。万太郎が東大に出入りすることになり、様々な人間模様が描かれる。
物語にはれっきとしたモデル“牧野富太郎博士”がいて、彼の経験したことがそのまま生かされているような。
植物学教室に出入りできるようになったとは言え、万太郎は当初 蚊帳の外に置かれたままだった。
要するに、周りのものたちが簡単に受け入れてはくれない。
考えてみれば、万太郎は小学校中退で学歴的には全く見るべきものはない。
東大にはおよそふさわしくない存在なのに、やすやすと自由に出入りができる。
毎日無視される中で、万太郎は少しずつ打ち解けられるように努力を重ねる。
たくさんの励ましを受けて、さらには物語のマドンナ寿恵子との距離も徐々に近づいていく。
当時の明治は鹿鳴館が設立されようとしていた頃。
社会的情勢も物語に盛り込まれながら、それでいて万太郎の恋模様も少し触れられるような。
この流れを受けて、来週に引き継ぐような雰囲気。
また、新たな登場人物も加わって明治のご時世を反映するストーリー展開は華やかさも醸し出す。
目次
東大植物学教室
この当時、日本に大学は東大しかなかったと聞いた。
そして大学の教授陣といえば日本人は3名しかいなかったそうな。
物語でも語られていたが、その中の1人が田邊教授。
コーネル大学に留学経験があって、英語が驚くほど堪能。
彼の意向で植物学教室は運営されている。
植物標本は植物の根から久喜、葉っぱ花、実に至るまできちんと揃った間全体のみを揃えるように指示。
この辺の意向が万太郎とは相容れないところ。
彼の意向で、授業で使う教科書は英語、授業そのものも英語。
そして生徒が提出する宿題、その他の論文も全て英語という徹底ぶり。
英語がちょっとでも苦手な者なら到底耐えられるものではない。
教室に通えるようにはなったけれど、万太郎にしてはちょっと気がかりなことも同時に起こってくる。
仲間外れ
教室のメンバーから見ると、万太郎は明らかによそ者。
田邊教授のお気に入りで、特別な計らいで出入りを許された身分。
自由に教室にやってきて自由に研究ができる。
他の者たちにとっては、憧れ以前に強烈な違和感でしかなかったようだ。
その結果、万太郎は完全に仲間外れにされてしまう。
教室では、教える先生と生徒の関係で全体が運営される状況だが、
そのどちらにも属さない万太郎は完全によそ者扱い。
閉鎖的な社会の中で、親密な人間関係を築くのは結構骨が折れる。
万太郎は故郷佐川で孤独に研究していたほうがマシだと思えるほどに悩むことになった。
佐川を出るときに、それなりの覚悟を持って意気揚々とやってはきたけれど、人間関係で悩むなんていかにも東京らしい“大勢の人間関係あるあるの結果”だね。
それぞれの励まし
普段人前でネガティブな発言などほとんどない万太郎だが、今回ばかりはそれなりに愚痴も多くなっていた。
十徳長屋のおりんさんを始め、たくさんの人たちから励まされる。
特に、竹雄からの叱咤激励などもユニークに描かれていたね。
万太郎が悩んでいる間にも寿恵子との関係が少しずつ前進するような描かれ方。
特に植物についての説明をしているときに、万太郎は自分自身のライフワークに気がついていく。
それは万太郎独特のやり方で、植物図鑑を刊行していくこと。
寿恵子は万太郎の人生にとってかけがえのない存在になりつつあることがこの辺からも描かれることになる。
将来は夫婦になる2人なわけで、それにしては2人の間に結構大きな隔たりがあって、お互いはまだ自分の気持ちすら告白できていないのだ。
寿恵子と鹿鳴館
寿恵子の叔母は、自分の姪が鹿鳴館で玉の輿に乗ることを画策。
このことには母親は猛反対しているが寿恵子の気持ちを確かめながら、巧妙に計画を立案。
まんまと白梅堂のお菓子を持って、1人で鹿鳴館に配達するように仕向けていたね。
今週の最後のシーンで、その辺のいきさつが明らかになっている。
そして、新たな登場人物も加わって、どうやら万太郎と寿恵子の恋路は簡単にめでたしとはならないような雰囲気。
恋敵でも現れるんだろうかね。
それでも来週の予告編を見る限り、万太郎は寿恵子との関係を心の底から望むようなシーンがあったと思う。
当然万太郎の気持ちに寿恵子は応えようとするだろう。
そして、もう一つ峰屋のおばあちゃんタキに何か異変が起こっているような気がした。
ここへきて、またさらに物語は大きく動くんだろう。
鹿鳴館の話と植物図鑑の刊行。
そして、万太郎と寿恵子の行末。
大きなテーマがすぐそこにやってきている。