大畑印刷所で授業料を払ってまで取得したい石版印刷の技術。
自分の作画した絵を、自分の手で印刷しなければならない。
作業をどうしても人任せにはできなかった万太郎。
印刷所で働くうちに様々な技術を身に付けつつ、ついに作画のところまでやってきた。
作画担当の岩下。
彼がおもむろに万太郎に声をかける。
実際に絵を描いて印刷されるところを見てみるかい?
願ってもない申し出。
それはかつて浮世絵で鳴らした絵師の作品。
石版印刷は、印刷技術にちょっとした化学反応を採用している。
1口では説明しにくいが、どうやら水と油が弾き合う性質を巧みに利用したものだと解釈。
反応のプロセスは科学的に説明つくが、どうやら作業そのものは、職人の技術力がものを言う昔ながらの世界。
1連の作業を眺めるうちに、万太郎自身も描くことを許される。
初めて手がけた石版印刷。
決して上出来ではなかったが、1つ目的を達成した事は万太郎にとって大いに励みになったようだ。
そして寿恵子はダンスレッスンにもいよいよ磨きがかかり、9月までには求められるレベルにまで達しそうな雰囲気。
そして、実業家高藤とのペアでのダンスも披露されていた。
しかし、寿恵子の想い人は万太郎。
寿恵子は自分の胸の内の恋心と、目先の幸せとのあいだで自問自答することになる。
目次
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絵師 岩下
かつて浮世絵を描いていた岩下。
万太郎の仕事の様子を、今までずっと観察していたようだ。
万太郎が目指すべきものがどんな絵なのかはよくわからなかったが、今日のやり取りでしっかり理解してもらえたのでは。
万太郎が目指すものは学術書。
つまりいわゆる絵画ではなく、図柄と言ったほうが正しい。
石版印刷は、与えられた印刷物を絵師が克明に描き移すことで成立する。
移すときに、ほんのわずかでも手心が加えられてしまったなら、客観的な価値は失われてしまう。
万太郎が求めていたのはどこまでいっても客観性。
今なら写真があるので何の苦労もないが、この時代は絵を描いてみせるしかなかった。
その中で、どれだけ精度を上げられるかはなににもまして重要な問題。
絵師岩下を演じている河井克夫は現役の漫画家らしい。
以前の朝ドラ「半分、青い」でも漫画家を演じていたと聞いた。
どことなく、他の俳優たちと演技が違って見えたので多少違和感を感じたけど、絵師としての存在感は充分伝わってきたね。
石版印刷
石版印刷技術は化学反応を利用している。
油が水を弾く原理を利用してインクを紙に移していく技術。
はるか、昔のガリ版印刷にも若干共通する部分があるのかもしれない。
ガリ版も油と水が弾く原理を利用して印刷する内容だったと思った。
万太郎は3週間働いたことで作業手順その他は、ほぼマスターできていたようだ。
今回岩下から声がかかったことで、実際に自分自身も作画することを許してもらえた。
その結果、はじめての作品を印刷することになる。
初作品
初めて石版に描いてみた万太郎。
ヒルムシロを描いてみたが、思ったほど上手く描けなかったようだ。
それでも、実際に手順を踏んで印刷してみると、はじめての事なので、ことさら嬉しい。
万太郎の嬉しそうな様子もさることながら、物語的には周りの人たちの感想がとても印象に残る。
これからの時代は正確に描いたものを求められる時がやってくる。
そのための印刷技術には、大いに値打ちがあると。
ちなみに、岩下の描いた猫はいつものように寸分違わぬ素晴らしい仕上がり
初めて自分の作品が出来上がったことで、物語的にも大いに前進したことになるだろう。
寿恵子の葛藤
寿恵子は努力の甲斐あってかダンスの腕前もみるみる上達。
高藤からも、クララ先生からも、太鼓判を押される。
特に高藤が語った言葉が印象に残る。
相手の目をまっすぐ見据えて踊る姿はこれからの日本女性の象徴になる。
ペアを組んで踊る時は、お互い呼吸を合わせる意味でも、目は見つめ合う必要があるだろう。
寿恵子はレッスンしながら少しずつ学んでいたようだ。
しかし、今週締めくくりとなるエピソードでは寿恵子のせつない、胸の内が描かれた。
万太郎が必死で研究を続けているのに、自分は男と踊っていて引け目を感じてしまう。
馬車の外から振り返る万太郎から、目をそらすように隠れてしまう寿恵子。
寿恵子のエピソードは高藤の妻とのやりとりでも語られていた。
寿恵子がダンスをするのなら、奥様が適任。
その問いかけに高藤の妻は不機嫌に一言。
…いまさら…
夫婦関係に愛情の欠片もないことがよく伝わってきたが、この当時のご時世を反映しつつ、物語はそのまま来週へ。