1週間を締めくくる物語を象徴するようなエピソード。
今日描かれたのは1人でも植物学の道を進んでいこうとする万太郎に、歩み始めれば決して1人ではないことがわかった心温まる展開。
高知まで植物採集に出かけた万太郎は、そこで出会った少年「山元虎鉄君」と今までとは違った関係を築くことができた。
そして、ここもナレーションで通り過ぎたが、
今まで所有していた土佐の植物標本500点と目録は大学に収めたとの事。
物語の中でもっぱら話題になるのは昨日初めて登場してきたヤッコソウ。
その珍しさは、万太郎の知識を総動員しても解析はできなかったのだ。
新種の植物である事は見当がついたが、どうしても検証するためには外国語の本が必要になる。
寿恵子と万太郎のやり取りの中で、これから莫大な資金が必要になることが描かれていた。
外国語、基本的には英語ないしはドイツ語の書籍になるのだろう。
1冊100円とか200円とか語っていたが。
何度も調べてみることだが、明治の初めの頃の物価は1円に相当するのが現在のレートで1万円から2万円とある。
1冊数百万もする本を何冊も買うなんて、正直無謀なやりとりだと感じつつも物語の中の2人には探究心という情熱があるんだろうと納得するしかない。
万太郎の研究は、羽多野や藤丸も交えてさらに進むことになる。
目次
万太郎と寿恵子の会話
万太郎は4ヶ月にも及ぶ植物採集旅行から帰ってきた。
相変わらず泥だらけの姿で。
家に帰るなり、真っ先に駆け寄ったのは千歳のところ。
園子を失ってからまだ間がない夫婦にしてみれば、かけがえのない愛しい我が子。
2人の会話の中で、これは史実通りだなと思わせる部分があった。
万太郎は1人で植物学研究の道を進み始めたが故に、莫大な資金の必要に迫られていた。
モデルの牧野富太郎博士は、現在のレートでも数千万円レベルの借金があったらしい。
莫大な借金を抱えながら研究生活を続けていた。
そして、その借金を絶妙な形でサポートしていたのが彼の奥様寿衛さん。
彼女がうまい具合にお金を借りてくれて、しかも借金取りから絶妙に夫をかばっていたらしい。
これを夫婦愛と呼べるのかどうかはわからないが、物語で描かれる寿恵子も全く同じ振る舞いをするようだ。
ちなみに、博士と奥様は11歳ほど歳が離れている。
そして、博士が90過ぎまで長生きしたのに対し、奥様は55歳で亡くなられた。
「らんまん」がこういったことも同じように描くなら寿恵子は中年を過ぎたあたりで亡くなる可能性が高い。
藤丸と羽多野
東大でもブラック田邊の肝いりで植物学図鑑を発行していた。
もちろん、日本の最高学府が公金を使って制作した書籍なので、初めからしっかりした版元がついており、日本中の学校が購入することを思えば、最初からお金の心配なんかいらない。
万太郎は個人で行う事業なので、スポンサーなしではとてつもなく険しい道のりを歩むしかない。
万太郎は土佐で見つけたヤッコソウの研究を諸外国の文献も参考にしつつ、進めようとしていた。
おそらく、新種の植物であることには間違い。
様々な文献を調べて、確たる証拠をつけなければならない。
この時、手を差し伸べて力を貸してくれたのが藤丸と羽多野。
特に羽多野はドイツ語を始めとする外国語に堪能だった。
それにしても、彼らの手元に広がっている洋書は一体いくらしたんだろう?
とてつもない値段が追加されたのは間違いないが、万太郎の借金生活はこの辺から逃げ場を失ったような。
ヤッコソウ
番組の様々なページを調べてみてわかったことだが、物語の中に登場してくる主な植物は、全てレプリカで、人間がこしらえたもの。
それは撮影の最初の頃から一貫して変わらないと言われる。
今回のヤッコソウもあらかじめ作られたレプリカで撮影していると聞いた。
様々な場面で、全く同じものを用意するためには、人間が作ってしまったほうが都合良い場合が多いだろう。
制作スタッフの心意気が感じられる瞬間。
この植物は、どうやら間違いなく新種であることが確定した。
植物が好きと言うだけで、これだけの大きな名誉が手に入る。
ブラック田邊をはじめ、大勢の学者たちが道を誤ったとしてもありがちな話だと言える。
万太郎は、他の人たちとは明らかに立ち位置が違っているのだ。
気がつけば1人じゃなかった
万太郎は自分が進むべき道は、1人で歩むしかないと決死の思いで臨んでいた。
しかし、四国から虎鉄君やそれ以外の人たちからも植物標本が届くようになっている。
つまり、自分が真心込めて、一生懸命研究していれば、賛同してくれる人たちがおのずと自分のほうに寄ってきてくれる。
このことに気がついた万太郎にとって、百人力の味方を得たような気持ちだろうな。
この流れを受けて、来週はどんな展開が待ち受けるのか。