どうする家康で描かれるこの時代の様々な事柄は、今までも散々いろいろなドラマの中で語られてきた。
様々な独断と偏見、そして歴史オタクたちが格段の思い入れとともに物語を注視する。
小牧長久手の戦い
豊臣、秀吉、徳川家康が全面対決した戦いとして後世に伝わる。
史実は様々な記録に鮮やかに残ってはいるが、実は未だに謎の部分も多い。
今日の物語を見ていて、この時代の核心部分を演じていた武将は石川数正だと痛感する。
松重豊、扮する徳川家康の最も頼れる参謀として物語に登場しているが、徳川家康を見限って豊臣秀吉に与したと歴史には残る。
その理由がいまだに不明とされて諸説あるのだが。
今日の物語では、まだそのいきさつは詳しく語られてはいなかった。
しかし、豊臣秀吉に合流した後石川一正は関ヶ原の戦い直前まで生き残ることになる。
さて、描かれた物語の流れとして家康と秀吉、それぞれの持ち味が遺憾なく描かれていたと思う。
松本潤演じる徳川家康は、この物語が始まった当初と比べて明らかにキャラクターは変わっている。
つい半年ほど前に描かれていた徳川家康は、軟弱な意気地なしとして記憶に残る。
しかし、本能寺の変が描かれたあとからは特に老獪さが目立つように。
いつも何かを考えているような、それでいて決して本心を見せない。
感心するのは、主人公であるべき徳川家康のセリフが驚くほど少なく設定されていること。
そこに存在しているだけで、何かを伝えられるような重厚さが漂うキャラクター。
家康と秀吉それぞれ、どちらが天下の覇者にふさわしいのか思惑は交錯する。
目次
徳川家康家臣団
物語で描かれる徳川家康の家臣団は驚くほど頼もしい。
特にその中でも二大宿老と呼ばれるのが酒井忠次と石川数正だろう。
この2人が、徳川家康の最も信頼できるブレーンだったと言える。
今日描かれたストーリーでは、石川数正が秀吉の元へ戦勝のための祝いの品を持っていくシーンが描かれた。
織田信長の形見とされた茶壺 初花肩衝
石川数正は家康からの献上の品としてこちらの茶壺を持参した。
秀吉の喜びようはいかばかりだっただろうか。
ただし、秀吉、家康両雄とも相手のことを全く信用していなかった。
勢いとしては、明智光秀を討ち果たした秀吉に分がある。
しかし、その秀吉は徳川家康の存在を自分を脅かす唯一の勢力として認識していた。
家康をそのままにしておけば、やがては自分自身を滅ぼしかねない脅威になる。
歴史で描かれたこととは言え、それぞれの胸の内が何をもとに動いていたのか興味は尽きない。
豊臣秀吉の野心
秀吉は、信長の次男信雄をそそのかして自らが天下人になることを画策。
本能寺の前あたりから、自分自身が信長に取って変わることを想定してたような気もする。
中国の毛利と対決していた時に、本能寺の変を知ってから大阪に戻るまでの時間があまりに短すぎる。
ただし、あらかじめ事件を知っていて掌握していたなら話は違ってくる。
そのぐらいのスピード感があって、そこから後の織田家臣団の飲み込みも筋書き通りだっただろう。
抵抗していた柴田勝家を葬り去って逆らうものはいなくなる。
そして、最後の気がかりが徳川家康と言うことに。
秀吉は天下統一のための地ならしを着々と進めつつあった。
譲れぬ想い
徳川家康は、自らの領土が誰かに支配されそうになった時、どんなことが起こるのかを熟知していた。
特に秀吉は無一文から出発した成り上がり者。
秀吉が何を望んでいるかもよく承知していたようだ。
そして家康本人がどのような歴史をたどってきたか。
強敵今川家、武田家、そして織田家。
これらの日本を代表する勢力にさいなまれてきた過去は、黙っていれば国が滅んでしまうことを嫌と言うほど思い知らされてきた。
自分の国を守る事は、自らの領土に閉じこもっていては無理だと言うことを思い知らされてきた。
秀吉が日本全土を欲しがっている事はよくわかっていた。
だからといって思い通りにさせてしまったのでは、自分の国を守ることができない。
何よりも世の中を平和に穏やかに導くためには、秀吉では無理だと確信を持っている家康。
自分以外に天下を統一できるのはいないと確信していた。
激突小牧長久手の戦い
来週にかけて、いよいよ秀吉と家康の全面対決が描かれることになる。
すでにこの2人の戦は情報戦と言う形で始まっていた。
それは、武田勝頼との戦いで多くのことを学んでいた家康にとっても重要だと思われた。
この時、秀吉と家康の間を行ったり来たりして、薄っぺらな役割を演じたのが織田信雄。
来週はいよいよ秀吉と家康が激突する。
しかし、歴史を知っている我々にとっては、この戦いは全面対決にはならなかったことを理解。
お互いが自分の力を誇示することで、戦いは和睦を結ぶことになるのだ。
それにしても特異なキャラクター、秀吉を演じるムロツヨシと家康を演じる松潤の魅力は、驚くほどの説得力が。