物語はいよいよ厳しい現実が告げられることになる。
大阪の母親ツヤには思った通り、重篤な病気が見つかった。
専門医が診察する中、ツヤは医者に告げる。
ワテはとどれくらい生きられるんや?
自分がもう長くないことを悟っていたツヤ。
同席していた梅吉には到底受け入れられない現実。
2人は、夫婦として今まで苦労を共にしてきた。
銭湯はな湯は基本的にツヤが切り盛りしていたようなもの。
そしてスズ子と六郎の子育て。
2人の子供を愛情いっぱいで育ててきた。
家族への愛情は今も昔も全く変わらない。
しかし、病に犯された体は刻一刻と体力を奪いつつある。
今日物語の中で描かれたエピソードでは、ツヤは自分の余命いくばくもないことをスズ子と六郎には隠し通すことを梅吉に言い渡していた。
母親として余計な心配をさせたくない。
厳しい状況に陥った時、家族は様々な反応をするが大きく2つに分けられるだろう。
1つは、家族全員で力を合わせてサポートをすること。
もう一つは秘密にして隠し通すこと。
ツヤは秘密にする方を選んだ。
いずれわかってしまうことながら、今からダメだと告げてしまうのは心情的に許せなかったのかもしれない。
世のならいと言えばそれまでだが、親が子供に教えられる最大の出来事は老いることだろうと思う。
老いの行き着く先は死。
そのことを現実として子供にしっかりと見せること。
ブギウギは最も厳しい現実が描かれようとしている。
目次
ツヤの病状
熱々先生は自分自身が思う通り、信頼できる専門医を同行してきた。
診察が終わった後、専門医は梅吉だけに話をしようとして、ツヤが遮る。
自分が長く生きられない事はわかっているので、こで正直に話をしてほしいと。
病気の詳しい内容の説明はドラマでは描かれなかった。
しかし、その後のツヤと梅吉の会話から先の事は想像できる
「後これくらい」と言われた事は間違いない。
平静を装うとする梅吉ははしゃぎ回る六郎の無邪気さが耐え難いものに。
思わず声を荒らげてしまう。
ブギウギはまでも辛く厳しい場面の描写は数多くあったと思うが、今回は間違いなくかつてないほどの切ないシーン。
ただし、これから先は笠置シズ子の史実を考えればさらに厳しい事態も予想される。
物語を見ている視聴者たち誰もが想像する通り、ツヤが物語から退場する日は近い。
六郎…
六郎は赤紙が来たことで、入隊の準備をしなければならない。
この当時、招集令状が届いた者全員がやった事は頭を坊主にすること。
大抵は二等兵として入隊するので、1番の下っ端を受け持つことになる。
私の聞いた話では、ほぼ拷問のような日々が続くらしい。
今で言う所のパワハラの極みといったところか。
過酷な軍隊生活だけど、逃げ出す事は許されないのだ。
もし逃亡罪に問われれば銃殺刑が待っている。
ほとんど聞いた事は無いけれど、0ってこともないはず。
六郎は自分がどんな立場に置かれているのかわかっているようで、わかってない部分もありそう。
彼の特徴としては、物事を深刻には受け止めない。
明るく楽しい事としてほとんど遊び感覚で従軍を捉えているような。
それでも、手柄を立てて周りの人から褒めて欲しい気持ちだけはしっかり。
ドラマの中で描かれる六郎役の黒崎君の演技のうまさがヒカるよね。
遺言
ツヤは母親として真っ先に考えたのは、子供たちには決して負担をかけたくない。
自分が死ぬ事はやむを得ないとしても、家族には明るく健やかに過ごしてほしい。
梅吉には命令のように伝えていた。
事実を隠す。
しかし、話しかけた後で涙混じりで謝罪する。
もっとみんなと楽しく過ごしたかった😭
一緒にいられなくてごめんなさい😭
親心としてまた物語を見ている者として、これ以上悲しいシーンなんてそうザラにはない。
ブギウギはこの頃のエピソードになると、楽しさを感じるシーンなんてほぼ皆無になってしまうのでは。
物語の中で描かれた梅吉の様子も、涙を誘う。
自分の愛する者の死を目の前で見せつけられるなんて、
世の中にこれ以上の拷問はおそらくない。
自分が死ぬのならまだ覚悟があるにしても、自分が守るべきものを目の前で失うことがどれほどの苦しみになるのか、味わったものにしかわからない。
梅丸楽劇団の今後
梅丸楽劇団の今後の公演のあり方について会議が開かれた。
いつもやっている出し物は明らかにアメリカナイズされたおしゃれなもの。
しかし、ご時世を考えればやがて軍からの統制が入るに違いない。
出し物にも、およそ舞台設定とは、ちぐはぐな看板が建てられたり、歌や踊りもそれなりに控えめにして配慮しなければならない。
スズ子は今まで通りと言うわけにもいかなくなったんだろう。
東京での芸能活動は、これから先軍国主義が前面に押し出され冬の時代が始まることになる。