朝ドラブギウギの最大の見せ場がこの1週間だったのでは?
このドラマは、
戦前から戦後にかけて活躍した笠置シズ子がモデル。
我々の世代でも彼女が活躍したのは戦後の認識なので、かなり歳とってからの印象しかないが、実は戦前から大活躍していた歌手だった。
そして後になって知ることだが、彼女は売れっ子歌手として活躍する傍ら、シングルマザーとしても知られている。
つまり未婚で女の子を1人産んでいた。
1週間かけて描かれたのは、運命の人となる村山愛助との出会い。
それは9歳年下の大学2年生の若者だった。
彼は大阪で著名な村山興業の御曹司。
母親が有名な興業主で全国にその名を轟かせていたようだ。
時代は昭和18年からの設定になる。
既に太平洋戦争が勃発し、日本は最初の真珠湾攻撃だけは成功させたが、それ以降はジリ貧で国民全体も耐乏生活が求められた。
主人公スズ子は愛助と出会ったことで経験したことのない恋愛に陥いる。
男女が結びつくのにたくさんの理由はいらない。
お互い恋心を抱きつつも簡単には許してもらえない周りの状況が。
目次
スズ子の大ファンを名乗る青年 村山愛助
愛助はふたを開けてみれば、お金持ちのおぼっちゃまだった。
出会いは突然訪れる。
それは愛知での興業の最中に起きた。
福来スズ子の大ファンを名乗る青年が楽屋までおどおどしながらやってくる。
最初は楽屋に押し掛けた彼だったが、やがて自宅にまでやってくるように。
将来のエンターテイメントを見据えていて、様々な外国の情報なども取り寄せている。
何よりも福来スズ子の大ファンであることには違いない。
演じている水上くんは、イケメンを絵に描いたような好青年。
スズ子にとって一生に1度の大恋愛の相手になるとはこの時はまだ誰もが理解できていなかった。
スズ子より9歳年下。
大学2年生でゆくゆくは実家の村山興業を継ぐつもりでいる。
スズ子の本心
スズ子は初めて見たときに弟の六郎を思い出していた。
弟は出征前、わざわざ大阪から東京のスズ子のところにまで会いに来てくれた。
その時の様子が未だに忘れられない。
弟は若くして戦死することになる。
何故か不思議なことだが、六郎と愛助は全く似ていないのにスズ子は同じような気持ちを抱いてしまう。
スズ子は自分自身ありえないと思いつつ、これも一目惚れの1つの形なんだろうと見ている者たちは推察する。
物語で描かれるスズ子は楽団を抱えていて、経営的には決して楽ではない。
彼女自身が恋愛などに心を動かしている余裕などないはずなのに、愛助を目の前にするとどうしても友達以上のものを感じてしまう。
そういった気持ちがドラマの中でも小夜との会話の中で詳しく語られていた。
小夜は自分自身の経験から見て「夢を語る男は信用できない」と。
自分にも経験があって遊ばれて捨てられるのが関の山だと。
それでも動き出したスズ子の心はもう修正が効かない。
愛助に誘われるままに2人だけの行動が増えていく。
常識ある行動をしなければならないと思うほどには、心はすっかり虜になっている。
恋心へのアプローチ
スズ子の恋心が物語の主なテーマとして描かれた1週間。
スズ子は自分の気持ちを押し殺すところからストーリー展開していた。
9歳年下の男を恋愛対象にしてはいけない。
彼女なりの制限だったかもしれない。
しかし、誘われれば決して嫌と言えないのも、事実。
どんな理由付けをしようとも一目惚れで好きになってしまっているわけで、気持ちを捻じ曲げることなど不可能といってもいいだろう。
スズ子の楽団ではマネージャーからスズ子に恋愛は控えるようにと忠告が。
相手が村山興業の御曹司ともなれば、これからのスズ子の楽団の活動に横槍が入るかもしれない。
そうなれば、今でも歌える場はほとんどないのに公演が全くできなくなることも考えられた。
スズ子の恋愛は誰からも支持されない。
まとめ
恋愛は横槍が入るほどに燃え上がると言う。
スズ子は自分自身が気持ちにしっかりブレーキをかけることで、仕事への影響を未然に防げていると考えているようだ。
もちろん真面目な男女の2人は一線を超えることもなく、少なくともやましい事は何もない。
しかし、それが2人の心を著しく抑え込んでいるのも間違いのない事実。
2人で会うことが増えれば、今のままで満足できるはずもないはず。
この2人は結局のところ夫婦同然の関係になる。
この物語が本当に凄いと思うのは、ベースとなるモデルとなるストーリーがあらかじめ存在していること。
スズ子と愛助は半年ほど一緒に過ごすことになるはず。
そして子供を1人もうけるが愛助は子供の顔を見る。間もなくこの世を去ってしまうのだ。
物語は至福の瞬間とその後のありえない不幸がちらつく中で猛スピードで進んでいく。