平安時代を描いた大河ドラマ「光る君へ」の第3話。
紫式部がいた時代の平安朝の様子は正確な資料は数少ない。
調べてみたところ、紫式部の生年も没年もはっきりしない。
描かれた物語は脚色の部分も多いものと推察。
不思議だと思うのは、この時代の頂点には天皇がいた。
今も昔もそうだが、日本人は天皇こそが自分たちの精神的な象徴と大切に扱う。
社会の仕組みは天皇を頂点とした貴族の序列こそがすべて。
描かれた物語では、天皇に取り入る様々な上級貴族たちの謀略策略の中で主人公まひろとその相手方となる藤原道長の様子が詳しく描かれた。
道長の父親は右大臣で天皇の側近。
その息子なわけで、藤原道長がどれほど高い位なのかは今日のエピソードの中でなるほどと納得。
さらには主人公のまひろの身分は貴族の中でも下位。
彼女は自分の身分を考えればどうしても表立って出歩くことも叶わない。
まひろの父藤原為時は右大臣の藤原兼家の策謀のために天皇の様子についてスパイを働くように仕向けられていた。
スパイ活動のために利用されるまひろ。
まひろは漢字に詳しく和歌を読むことにも長けている。
まひろの恵まれた才能は策謀に利用されることになった。
目次
藤原兼家の企み
物語を見ていて感じるのは、日本人がなんと穏やかでけな気な国民性を持った人たちなのか。
学んできた歴史を考えてみると、よその国では自分の欲望を満たすためには、自分の目上にいる勢力をそのまま排除する場合が多かったのではないかと。
物語の流れでは、天皇の側近となったものは自分の娘を天皇や次期天皇に入内させて自分の権力を増そうと言うもの。
自分が天皇になり変わるわけではない。
かなり遠回りだが、この頃から女性は勢力争いの道具として扱われたようだ。
これは江戸時代に至るまで連綿と続く日本人の特徴かもしれない。
物語の主人公まひろの相方となるのは藤原道長。
道兼の弟になるのだ。
この段階で物語は驚くほどドロドロとした作り。
まひろの才能
まひろは為家の命令を受けた為時の計らいで為家のライバル家を探るように言われていた。
物語の中でもはっきりとした言葉で「間者」と言っていた。
要するにスパイっていうこと。
その役目にまひろが抜擢されていた。
物語で描かれた集まりは女性同士のサロンのようなもの。
先生が1人いて、先生のもとで文学の研鑽を積むと言う内容。
まひろにとっては得意中の分野になる。
あまりネタ晴らしはできないが、こちらの彼女が藤原道長の奥さんになるはず。
物語の複雑な作りがちらほらと見え隠れする。
陰謀渦巻く朝廷内
天皇を頂点とする社会である事はよくわかるが、その天皇も実際のところかなり危うい存在だったように描かれている。
自分の命さえ狙われる場合があって、跡継ぎなども側近の者たちの意見が優先される場合がほとんど。
中世ヨーロッパの絶対君主とは明らかに違っているなと思うね。
描かれた物語の中では、天皇の体調不良を疑問に思った側近が毒の存在を疑っていた。
もちろんばれてしまえばとんでもないことになるわけで。
物語の中では、微妙に隠されているような雰囲気にはなっていたが、毒を盛ったものたちにしてみれば気が気じゃなかっただろう。
この辺の時代背景は実は驚くほど資料が少ない。
残っているものは、古今和歌集や万葉集などの文学作品。
印刷技術も何もない時代なので、すべて書き写すことで残す以外になかったはず。
さらに大切なことだが、この当時使われていた和紙は超高級品と聞いた。
つまり、よほどのことでなければ、簡単に紙に文字をためることなど叶わなかったようだ。
そういえば先週のエピソードでまひろの代筆業について描かれていたが、代筆してほしい者たちは皆紙を持参していたね。
紙を持ってこれないものは木片だったりもしていた。
時代背景がよくわかる。
今とは全く異なる事情で、しかも平安京に住んでいる人たちは、今とは比較にならないほど人口が少なかったと思われる。
調べてみると、西暦1000年頃だと17万5000人ほどだと記録に残る。
昨年実績だと京都市は138万人ほどで、10年で4万人ほど減ったと聞いた。
それでも平安京の時代の約10倍はいることになる。
また、平安京と呼べばかなり大きな街を想像しがちだが、実際は5キロ四方程度と聞いた。
それほど広くない場所で10万人を超える人たちが暮らしていたと思う。
時代背景もさることながら、数字の裏付けは物語の設定を理解するのに大いに役立つと思う。
まひろと道長
道長とまひろはこの物語の描かれ方だとどうやら恋仲になりそうな雰囲気。
歴史に伝わる事実では、2人とも別々な男女と結婚することになるので、2人がどんな関係になるかは物語を見ていないとわからない。
物語は、さらに当時の言葉遣いではなく、現代の話し言葉で語られている。
物語が始まった時、多少の違和感を覚えたが、もう何話分か見たなら物語の絵描かれ方にもなれるのかもしれない。