今週から登場したラクチョウのおミネ。
彼女は、ガード下の街娼の取りまとめ役だった。
演じているのが田中麗奈。
女優さんだけあって、さすがにまだまだ若い。
1980年生まれなので、今年44歳になる。
さて、彼女が演じているおミネはスズ子の元に怒鳴り込んで大見栄を切って見せた。
タブロイド週刊誌の記事に腹を立てたもの。
今も昔もゴシップは本当の事3割に捏造を7割ほど加えて、もっともらしくこしらえる。
誤解を解きたいと考えたスズ子は単身ガード下までやってきて、おミネたちと話し合い。
既に物語の流れは明らかではなっていたが、どんな形で誤解が解けたのかは大いに興味が湧く。
スズ子を演じている趣里の声を張ったセリフ回しは、画面を見ていてもびっくりするほどの説得力があったように感じた。
この物語は既に後半に入っていて、来月いっぱいで終了するはず。
この間のネットのニュースで既に撮影が終了したと報告されている。
もうすべての物語は完結して後は放送されるのを待つばかり。
物語の中では、おミネたちと和解できた傍でこの間から知り合っている靴磨き少年達彦の家族の様子が明らかに。
ここへ来て、スズ子と幼なじみタイ子は思いがけなく再会することになる。
しかし、それぞれの置かれた立場はあまりに悲しく切ない。
戦争が終わった直後、日本は混乱の真っ只中。
誰がどれだけの不幸を味わっていたのかすべてのエピソードを網羅する事はとてもできそうにない。
目次
スズ子とおミネたち
単身乗り込んでは見たものの、周りの状況にたじろいでしまうスズ子。
娼婦たちは女としてギリギリのものを売って商売をしている。
巷では人類最古の商売だと言われるが、結論から言えば需要と供給で成り立っているのはいろんな商売の中で共通する原理。
売る方と買う方がいて成り立っているのは誰にもわかりやすいことだろう。
スズ子は彼女たちと話をすることで誤解を解きたいと思っていた。
それぞれ全く違う立場で生きている女性。
自分以外のものはなんとなく気楽に生きていけてるような気がしてしまう。
しかし、スズ子は声を張り上げて自分は気楽に生きていないと反論。
母親が亡くなり戦争で弟を失い、
挙句の果て、最愛の愛助まで失ってしまった。
1人残された娘愛子は愛助の忘形見。
娘だけはなんとしてもしっかり育てあげたい。
スズ子の必死の訴えは、どうやらおミネたちにも届いたようだ。
それぞれの戦争体験
おミネたちは戦争のせいで生きる術を失ってしまった。
食べ物や住むところを得るために、女としてギリギリのものを売って生きていく。
誰彼できることではない。
ドラマの中で、おミネがスズ子に凄んでみせたセリフ
あんた 好きでもない男に抱かれたことあるかい?
おそらく朝ドラではギリギリのセリフだと思う。
娼婦たちの現実がこの言葉に集約されていたのでは。
もちろん当事者でなければ絶対にわからないことなので、コメントしようもないが戦後日本の大都市ではこういった女性が多数存在していた。
そして、これらの歴史は戦後の闇の部分でもある。
表立って大きく取り上げられる事はなさそう。
スズ子はおミネたちの苦しい事情を聞くにつけ、自分自身の切ない胸の内を明かす。
スズ子自身、今まで思ってはいても人には話したことがなかった。
ブギの女王スズ子は大勢のスタッフが周りに存在する。
彼女自身が1人感傷に浸っている暇などないのだ。
大勢のスタッフの手前自分が取れる行動にはおのずと制限が。
おそらく今も昔も変わらない裏事情だと言える。
スズ子にとって今は愛子の子育てと歌手活動の両立こそが全て。
物語の中で明かされていた言葉の中に
今でも愛助の寝間着を抱きしめて寝ていると。
戦争未亡人と呼ばれる女性も当時たくさんいたと思うが、同じような経験をされたのではと考えるたびに胸が痛む。
戦後のガード下
この時代は市場経済もまともに機能していなかった。
商売をやるにもそれぞれが勝手に店を広げて売り買いしている有り様。
許可証もあるようでなかったような。
闇市もこの時代を象徴するシステムだっただろう。
しかし、戦後復興の日本の出発点はここにあったのも事実。
ここから多くのドラマが生まれ、現在にまでつながる。
幼なじみタイ子とスズ子の人生
描かれたエピソードの中でタイ子がとっていた行動。
明らかにスズ子には知られたくないような気持ちがありあり。
彼女の胸の内を必死で考えてみる。
幼なじみのスズ子には合わせる顔がない。
自分は幸せな結婚をしたはずが、今はすっかり落ちぶれてしまった。
歌手として大成功したスズ子とは明らかに異なる。
女優趣里と藤間爽子の真っ向勝負は見ごたえ十分。
2人ともマジで素晴らしい女優。
今週のエピソードはあと2回続くので、2人の再会にも相応の決着がつくものと思われる。
スズ子の波瀾万丈の人生は彼女だけに留まらなかった。
戦後の日本が抱えた闇の歴史は今でもしっかりと語り継がれる。