賛否両論あるだろうが、今回の朝ドラもかなり面白いと思って見ていられる。
特に様々な考察をするときに、セリフだけではない実際の映像を挿入することで状況説明がより詳しく丁寧に。
さらにはセリフが多いと思いきや、実際のところは表情とか仕草とかメクバセなどで意思表示を図ろうとしているところなど。
以前のテレビでは考えられなかった手法だと思う。
映画でよく見かける方法だろう。
以前のテレビは今ほど解像度はなく、表情のディティールやセリフのニュアンスなどが正しく伝わるとは限らなかった。
しかし今はほぼ全てハイビジョン。
ちょっとしたミスに至るまで全てが白実のもとにさらされる。
今日の物語の中心になったのは昨日に引き続き山田よね。
しかし同じことの繰り返しではなかった。
気まずい雰囲気の中始まるストーリー展開は思わぬ方向へと進む。
特に自分自身の苦しい現状ですっかりひねくれているよねとは対象的に恵まれた環境の寅子たち。
お互い相入れられないと思われたが、それぞれのやりとりの中で新しい認識が生まれていった。
さらに涼子が法廷劇の制作秘話を明かすことによって今回の乱闘事件の本質が見えてくる。
そこに至るまでの展開も、見事としか言いようがない。
ひねくれたよねをどうやってみんなと同じ行動を取れるようにするのか。
寅子だけでは思いつかない仲間たちの様々な経験が原動力に。
目次
よねの問わず語りパート2
冒頭から語られたよねの想像を絶する生い立ち。
彼女以外大抵の子たちは皆良い所のお嬢様。
よねを慰めることなどできようはずもない。
しかし、物語を見ている我々の理解では“ここは不幸の度合いを貴競い合う場面ではない”ってこと。
よねの人生は明らかに気の毒だと言わざるを得ないし、彼女の考え方も大いに納得でき共感できる部分もある。
しかし、よねは自分自身を納得させるためにいくつかの仮説を言い聞かせていた。
女が不幸なのは何も知らないで無知な事。
さらには現実に甘んじて行動を起こそうともしないやから。
真っ向から否定する寅子。
声をあげたくてもあげられない人がいる。
よねの経験や考えが他の人全てに当てはまるわけではない。
2人のやりとりで傑作だと思ったのは、今日も女性の生理についての話。
生理痛のひどい寅子と違って、よねは全く何も感じていないらしい。
そのことで周りの者たちも相応の対応をしていた。
女同士の会話だからこういったことも話題に登って当然なのかも。
寅子の提案
様々な考察があって今回の法廷劇について検証作業が必要だと言うことに。
そもそも毒殺したい相手に対して、なぜわざわざ毒饅頭と言う方法を選んだのか。
そこから検証しようと。
現象作業に至るまでのわずかな時間だが、猪爪家の家族の関係も少し触れられるような描き方。
はると花江の気まずさは家族全体に伝播しているのかも。
この関係を正常な朗らかなものにしてくれるのが寅子の存在。
寅子こそが猪爪家のエンジンかもしれない。
女子部の生徒たちが集まって、実際にまんじゅうを作ってみることに。
ちょっとした料理教室のようなもの。
猪爪家の検証で見えてきたこと
花江の味付けに砂糖をもう少しとはる。
このやりとりはお約束。
まんじゅうを作りながら仲間たちはそれぞれに会話を始める。
ここで様々なことがわかってくる。
なぜ手作り饅頭を丁寧に作ることになったのか。
そこには男の勘違いの気持ちが現れていると。
手作り饅頭を作って玄関に置いておけば、男は別れを宣告した女がまだ自分に気があると錯覚する。
それを食べれば作戦成功ということに。
寅子が異を唱えるがよねが論に正当性があると主張。
務めるカフェにやってくる男たちはほぼそんなようなものだと。
確かに男は勘違いで成り立っているような生き物。
女性関係に関しては特に勘違いで進んでいる場合が多いような気が。
うまくいくこともあればそうでないことも多々あるわけで。
うまくいった場合の世の中が現状なのかなと勝手に想像したりもする。
しかし、試食をしてみて舌つづみを打っている最中にわかった事実。
人を殺すために必要な毒物はどうやら80匁必要らしい。
これは現在の単位に換算すると300gほど。
とてもじゃないが、まんじゅう1個に収まりきるような量ではない。
そこで新たな考察が。
本当は殺意などなかったのではないか。
それとは逆に知らなかったので殺せると思ったのかも。
様々な意見が出た後でよねは無知な女が起こした事件だとひとくくりにまとめようとする。
涼子の告白
やりとりを聞いていた涼子が衝撃の発言をしていた。
実は学長が今回の劇を作るにあたって事実関係を改ざんしていることが発覚。
犯人とされた女給は実際は女医。
毒物は除草剤ではなくチフス菌。
さらには犯人と被害者はあらかじめ結婚の約束があって、
婚姻予約不履行が認められ損害賠償7000円を支払っていることも。
なるほど、隠された事実の方が間違いなく信憑性がある。
無知な女たちを騙すためにわかりやすい設定に改善していたとのこと。
よねでなくても怒りがこみ上げてくるのはよくわかる。
さて、明日この物語に決着が。