今週のエピソードはここへきてギリギリまで盛り上がったと思う。
貴司と舞は次のステップに進む必要がある事は、誰の目にも明らか。
しかし、それぞれお互いの性格が災いしたか、なかなか前に進めない。
今回2人の関係に割って入ってきたのが史子ちゃん。
恋敵としては、申し分のないポテンシャルを秘めているのでは。
物語の中では、顔色が悪くなるほど思い詰めた舞の異変に気がついた母親めぐみ。
「何か心配事があるなら相談に乗る」と何度もアプローチをかけるが舞はかたくなに心を開こうとはしない。
しかし、舞が何に悩んでいるのかは全てお見通し。
これ以上ないってくらいのアドバイスも。
さて、史子ちゃんは舞の存在を強く意識しながらも、貴司に対して自分の気持ちを伝える。
先生の灯になりたい
今まで和歌を作るだけで、カラに閉じこもってきた彼女にしてみれば、清水の舞台から飛び降りるくらいの覚悟が必要だったろう。
史子ちゃんの和歌に対する理解度はプロレベルで、貴司の歌人仲間として申し分ない。
さて、ストーリーは、みつどもえのような雰囲気を漂わせてつつ、あくまでも舞と貴司の恋模様が中心だよとゆるぎない。
目次
IWAKURAでの舞
顔色の悪い舞には貴司のことで悩みが尽きない。
乗り越えるためにも、自分がなすべき仕事はしっかりとがんばりたいところ。
IWAKURAを紹介するために社員一人ひとりにインタビューすることを決めた彼女は第1号に選んだのが笠巻。
彼はIWAKURAの先々代の頃から、この工場に勤めていたと語っていたね。
そして、それは今から44年前25歳の時だったので、今69歳なことも明らかに。
ちょうど高度成長期の頃と語っていた。
工場では作れば作っただけのネジが売れたと語っていたね。
ブログのネタとしては申し分ないだろう。
笠巻は父浩太が社長になった時も、二人三脚で会社を支えてきた。
IWAKURAにはなくてはならない存在で、舞たちも彼の存在こそが、“仕事をするうえで誇り”に受け止めている。
デラシネ
デラシネでのリュー北條は貴司がまだ1首も作れていないことに驚きを隠しきれない。
『彼は恋愛の歌なんか作ったことないからなぁ』と語った言葉を遮って史子が説明を加えていた。
300首の中に1つだけ恋の歌があります。
ここで驚きなのは、脚本家がどれだけ日本の古典に造詣が深いのか、思い知らされる素晴らしいエピソードが紹介される。
貴司の作った恋の歌
君が行く
新たな道を
照らすよう
千億の星に
頼んでおいた
これは舞のためにIWAKURAで頑張ることを決めた応援歌として書いた詩。
実は、この歌が本歌取りで歌われているので、元の歌から類推すれば、間違いなく恋の歌だと。
その作者は、物語でも紹介されていたが、奈良時代の歌人。
狭野弟上娘子(さののおとがみのおとめ)
この人が夫と別れるときの歌が貴司の本歌になると解釈。
夫と別れざるを得なかった妻が、恋心を切なく歌いあげた詩。
君が行く
道のながてを
繰り畳ね
焼きほろぼさむ
天の火もがも
この辺の専門的な知識をさらりと設定できるあたり、脚本家の並々ならぬ文学の素養を感じる。
そしてその類いまれな知識は、登場人物の秋月史子に投影されていた。
さすがの編集者リュー北條も思わず“わかりにくい”とつぶやきつつ、なるほどと納得。
貴司の苦悩
貴司ほどの言葉の操り方が出来るなら、恋の歌ぐらいちゃちゃっと作れそう。
リュー北條はどこまでいっても下世話な印象を受ける。
貴司は舞を思えば、どうしても心にブレーキがかかってしまうんだろう。
彼が舞を好きなのは明らか。
しかし、彼の経験から見て男女の中になるとすれば、それは舞を汚してしまうと考えちゃうんだろうな。
彼のデリケートでナイーブな感性は、恋を受け止めるためにはあまりに繊細すぎるのかも。
そして、何かと、身の回りを世話してくれる史子の存在もありがたいと迷惑と半々かもしれない。
ただし、物語の中でしっかり語られていたけどこと短歌に関しては史子は申し分のない同士と言える。
これからのことを考えれば、このまま2人の関係が消滅してしまうのもなんとなく惜しい気がしないでもない。
舞 貴司 史子
史子はいよいよ舞や貴司に対して本心を語ろうと決意する。
彼女は歌人としては貴司に匹敵する位の腕前を持っていると感じる。
しかし、歌人としての彼女の感性は貴司同様、あまりにデリケートでナイーブ。
男女の仲を演出するにはあまりに神経質だろう。
実は、和歌こそ読めないけど舞も同じようにデリケートで繊細な部分を持ち合わせる。
自分と接した人がどんなタイプなのかすぐに読み取って、その人の望むものを何とかして叶えてあげようとする。
舞の大きな力として説得力が挙げられるだろう。
相手の心にしっかりと寄り添うことができて、相手はそれを快く受け入れられる。
貴司はそんな舞が大好きな事は間違いない。
しかし、2人の繊細な感情は、生臭い男女の恋物語など、どうしても一歩踏み出せずにいるのだ。
まさか、この2人がプラトニックなままで終わってしまうとも思えないが、物語の流れとしては、少し苦しみが続くのかもしれない。
さらには、IWAKURAの今後を考えると悠人が関わってくることも考えられる。
人間関係を描くなら男女の中は避けて通れないが登場人物のそれぞれの恋物語は、まだまだたくさんのエピソードが必要なのかも。