やはり想定された結果が描かれた。
桃色争議は無事終了することになったが、その責任の所在は思った通りの結末に。
女の子たちの条件を全て受け入れることにした。会社は引き換え条件を提示した。
それは誰もが想定した通り。
大和礼子
橘あおい
2人の中心メンバーを解雇すること。
わかっていたこととは言え、切ない幕切れとなった。
騒動の顛末が詳しく描かれたことで梅丸少女歌劇団は新しく生まれ変わったと言える。
錯乱状態で礼子とあおいの退団に猛抗議するスズ子。
しかし、責任を取ることとは驚くほど冷酷で、無慈悲。
そして、2人がいなくなったことによって、今まで解雇されたメンバーも全て復帰することが叶った。
新人だった研修生も無事戻ってくることに。
さらには止めざるを得なかった和希も復帰。
スズ子たち3人組も元通りに戻って、さらにはそこに秋山も加わる。
新生梅丸少女歌劇団は、トップ2人が抜けた穴埋めとして新たな作品を披露することになった。
それこそ礼子がこだわり続けたラインダンス。
明るく飛び跳ねる少女たちの一紙乱れぬ姿は、観客はもちろん当事者だった社長を始めとする経営陣も大いに納得するところ。
目次
ストライキ終了
物語の中では、ストライキはおよそ3週間経って終了したと語られていた。
結論として、会社は女の子たちの要求を全て受け入れた。
1つ2つの条件を除いては文句のない交渉だったと言える。
しかし、ストライキをしていた間は会社は興行を行うことができなかったわけで、しかもお客さんは楽しみにしていた舞台を見ることができなかった。
今では労働三法なるものがあって、労働者がストライキをする権利はきちんと認められているが、この時代はそんなふうにしっかりした取り決めがあったわけではなかっただろう。
この顛末について誰かが責任を取らされるのは容易に想像できること。
礼子とあおいの退団
案の定、損害を被った会社にはそれなりの責任論が発生する。
この場合ストライキを主導した礼子が攻めを負うことになった。
大和礼子はストライキに突入した時、自分が会社に残れなくなる可能性を承知していたと思う。
物語の中でも何度も語られてきた会社と差し違える覚悟。
それだけの覚悟がなければ、軽々しくやっていいことではない。
現在ではストライキをやるような企業はかなり少なくなっただろう。
大抵は組合と団体交渉をして様々な取り決めをするのが普通。
それは旧国鉄などが有名かもしれない。
そして、よく聞く言葉の中にブラック企業なるものがある。
要するに、劣悪な労働環境を強制するような会社は、ブラック企業と呼ばれる。
さらにはラスメントなる言葉もあるだろう。
今では日本語として定着したセクハラなどもその一つに数えられる。
セクハラ、パワハラ、モラハラ。
現在において市民権を得た様々な言葉が当たり前のように語られるが、過去からの長い歴史でこういった裏事情があったのも知っておくべきかと思う。
スズ子の激情
大和礼子と橘あおいのツートップが退団させられることになった。
2人とも覚悟ができた状態で、会社の決定にも自ら従うような素振り。
ただし、実際にストライキを実行したのは、礼子だけ。
あおいは礼子だけに責任を取らせるわけにはいかないと連帯責任を申し出た。
激しく反発するスズ子。
あおいは厳しい口調ながらも丁寧に説明していた。
礼子がどんな思いで梅丸を止めるのかよく考えてみろと。
物語の中で語られていたのは礼子本人が辞めたくないと涙ながらに語っていた。
しかし、ここできっぱり責任を取ったのは、さすがとしか言いようがない。
彼女は親代わりで育ててくれた社長を裏切る形になった。
社長は会社全体の運営を考えなければならない。
好き勝手な従業員をそのまま野放しにして、まともな経営などできるはずもない。
メンツと言ってしまえばそれまでだが、それなりの権威とか威厳などは保たれればならない。
おそらく社長本人にしても苦渋の決断だったろう。
トップとなる2人が一気にいなくなってしまうのだ。
残った者たちだけで、かつてのようなグレードの高い舞台ができるかどうか心配の種は尽きなかったはず。
決意のラインダンス
社長自らが林部長に語っていた。
礼子もあおいもいなくなった。
残った子たちが輝くような出し物を考えてほしいと。
そこで提案されたのが礼子のお土産とも言えるラインダンス。
一紙乱れぬラインダンスは必ずお客さんに支持されるはずだからと林部長の決意も固かった。
そして何よりもやめていった先輩たちの志を遺憾なく受け継いだ団員たちは、さらに稽古に励み完成されたラインダンスを披露することができた。
決意のラインダンスはお客様からも大いに賞賛された。
梅丸は厳しい状況を克服したことで、さらに未来へ向かって発展することができるのだろう。