スズ子と秋山はヘッドハンティングされて東京で活動することになった。
それぞれ、持ち味を存分に発揮。
いつしか2人は、東京でも抜群の知名度と人気を誇る存在に。
梅丸楽劇団はスターが生まれたこともあって大阪でも東京でもスズ子たちがどれほど値打ちのある存在なのか思い知ることになる。
今週描かれたのは人気絶頂となったスズ子と秋山が、世間の評判とは裏腹に未だ幼い少女の精神状態のまま身の回りに起こる新しい事柄に困惑しつつ、成長する姿が描かれる。
スズ子は演出家松永に淡い恋心を抱く。
それはピンチに陥った時、松永は何かと手を差し伸べて励ましてくれたことによる。
ほとんど恋愛経験のないスズ子が憧れるのは無理からぬこと。
そして秋山は同僚のダンサー振り付け師の中山と恋仲になる。
しかし、この恋はあくまでも仕事を通じて関係が深まったもの。
中山のことが好きになればなるほど、自分の中に生じる違和感に困惑を隠しきれない秋山。
中山は秋山にプロポーズ。
秋山は様々な悩みを乗り越えてプロポーズを断ることになった。
そしてそれぞれが様々なことに右往左往する中、スズ子に起こった日宝への移籍問題。
さらには秋山の帰阪が明らかに。
次々と起こる様々なエピソードは、実際はモデルの笠置シヅ子の身の上にも起こった出来事。
この物語はフィクションの形を取りながら、実際は笠置の伝記物語と言っていい。
事実は、小説よりも奇なりと言うがまさにその通りのことだと言える。
目次
人気絶頂の波紋
実は大阪の梅丸少女歌劇団にいた頃は、全てがおんぶに抱っこで会社任せにしていたスズ子と秋山。
しかし、人気絶頂の大スターとなれば、あちこちの芸能事務所からオファーが。
今も昔も変わらないことだが、芸能界は驚くほど閉鎖的な世界。
タレントの引き抜きなどは絶対にご法度。
もし発覚すれば大問題になる事は必至。
結論から言えば、それだけの危険を犯しても欲しいと思わせるだけの大スターになっていた
スズ子。
実はこういった事は内緒のつもりでも簡単に情報はばれてしまう。
事実関係を知った梅丸は大激怒。
結局のところスズ子は移転することをやめることになるのだが、自分が全くの世間知らずだったことを思い知らされる。
何よりも母親から大事と言われていた義理と人情を粗末にした功罪は大きかった。
と同時に自分自身にどれほどの値打ちがあるかもはっきり自覚できるように。
何も知らない女性だったスズ子は少しずつ世の中を学ぶことになる。
恋愛事情
先週かなり丁寧に描かれていたが、スズ子は自分自身のパフォーマンスにどうしても自信が持てなかった。
そのことを乗り越えたスズ子にとって演出家松永は恋心を抱く対象に。
しかし、スズ子の恋は松永に許婚者がいることが発覚。
あっさり終了してしまう。
物語で描かれた恋バナはあともう一つ 秋山のエピソード。
彼女はダンス担当だった中山と恋仲に。
中山は同じダンサーとして秋山に男役でなく女役になってくれと言い始めた。
秋山はもともと男性役を演じるダンサーとして人気が出ている。
しかし梅丸楽劇団では男女混合の舞台になるので、女がわざわざ男を演じる必要は無い。
中山の言い分も理解できるところ。
さらには仕事仲間以外でも夫婦として一緒になろうとプロポーズされた。
秋山はその頃から微妙な違和感を感じ始める。
中山を尊敬こそしていたが、自分が女になりきる事は自分らしさを失うことではないかと。
そしてその違和感は最後まで解消される事はなかった。
プロポーズを断り、大阪へ帰ることを決断する秋山。
ブギの女王
モデルの笠置シズ子のパフォーマンスはYouTubeで存分に鑑賞することができる。
じっくり見ていて感じるのは驚くほどのスイング感。
ノリの良い歌謡曲ぐらいと思いきや、実際は歌声もさることながら、彼女の振り付けが他の追随を許さないほど素晴らしいものが。
昨日のブログで主人公を演じる趣里のパフォーマンスを紹介したが、今日はあえて笠置シヅ子本人のものを紹介してみたい。
このパフォーマンスを見ると、趣里のものと存分に比較することができる。
今でもこれだけのパフォーマンスを演じて見せられる歌手はいないのではないかと。
見れば見るほど驚き以外の何物でもない。
時代を紡ぐもの
スズ子を支えるバックアップメンバーもしっかりと描かれる。
作詞家、藤村と作曲家羽鳥善一。
このコンビで様々なヒット曲が生み出された。
物語の中で描かれた趣里のパフォーマンスが見ていてもびっくりする位雰囲気があって、それが楽しみにもなる。
来週の予告編はこれもまた驚くほど厳しい内容だが、NHK、大阪のスタッフたちはどんなふうに描くのだろうか。