昭和15年当時は、日本国内の文民統制はピークに達していたと思われる。
もちろん、大西洋戦争が始まった頃が、さらにその度合いを強める傾向にはあったが、芸術活動そのものが全く省みられなくなっていたので、統制にもならなかっただろう。
スズ子は昨日のエピソードでもあったように湧き上がる躍動を抑えることができなかった。
三尺四方の厳しい条件を守って歌うなど、まるでステージにならない。
禁を破ってしまったところが、警察から大目玉。
きっちり油をしごかれた後は すっかりおとなしい子になってしまって、決められた条件の中で歌う。
ただ、スズ子にとっては不本意極まりないステージ。
そんな中、自分のスタイルを決して変えないブルースの女王がいた。
茨田りつ子
彼女は警察に対しても徹底抗戦を貫いていた。
描かれた物語の中で警察に素直に従うスズ子と、全く従う気のないりつ子の様子が対比された形に。
梅吉は相変わらず飲んだくれの生活でたまたま届いた六郎からの手紙に懐かしさを爆発させていた。
今日の物語の中で、最後に登場した新メンバーが小林千夜
富田望結が演じる。
彼女は朝ドラではお馴染みの女優。
記憶の中では、なつぞらで広瀬すずの相手役として登場していたのが思い出される。
目次
三尺四方の決まり
さすがに枠内で歌うと言うのは、パフォーマンスが身上の歌手にとってはやらない方が良いのかも。
スズ子は昨日のエピソードでは辛抱たまらず、今まで通りの飛び回るステージを披露してしまった。
この時代の警察の力は大変なものですぐに中止命令。
型笛が吹き鳴らされ、その場でステージは中断。
そしてお客は強制的に退場。
さらには関係者は警察まで連行される。
決まり事とは言え、全く身動き取れない。
梅丸楽劇団と警察
誰もが警察からのお達しに困り果てていた。
ステージはスズ子の持ち味を生かして激しい動きを取り入れた楽しさ満載の出し物。
それが身振り手振りもなく、ただかかしのように突っ立って歌うだけではお客さんだって納得しないだろうね。
スズ子が我慢できずに決まり事を破ったのもなんとなくわかる。
スズ子のステージを素晴らしいと絶賛したのは羽鳥善一のみ。
彼はスズ子のステージは楽しくて素晴らしいと断言していた。
ただし、警察には通用しない。
警察は挙国一致の体制で戦争に臨むことを第一の目的にしていた。
浮かれて踊り回るような舞台は、ご時世にそぐわない。
スズ子のパフォーマンスは格好の槍玉に。
この時1番困ったのは、梅丸楽劇団だっただろう。
看板ステージを骨抜きにされた挙句、さらには警察の監視もあってお客さんがそっぽを向いてしまう事は容易に想像できる。
羽鳥善一は、そのことを真っ先に訴えていた。
このまま警察に従うなら、やがては楽団も解散せざるを得ないのでは。
モデルの笠置シズ子も全く同じ運命を経験している。
彼女の所属した楽団は見事に解散の浮き目に遭ってしまう。
スズ子は謝って許してもらったが、同じように連行された茨田りつ子は決して折れるとは言わなかったそうな。
りつ子は自分のスタイルを変えようとは決して思わなかったようだ。
さらにはステージも絶対に妥協しない。
口では簡単に言えるけど、かなりの迫害が想定されると思う。
茨田りつ子と福来スズ子
りつ子は羽鳥に呼ばれる形で事務所までやってきた。
そこで、自分が決して折れない理由を淡々と語っていた。
これが私のスタイル。
私がやりたいと思うものをやる。
その後でスズ子に語っていた。
あなたつまらなかった😤
スズ子も負けてはいない。
私だって思う通りにやりたいけど、警察にショッピかれてしまうのではその後が続かない。
りつ子は自分のスタイルを表現できないならやめてしまえとさえ言い放った。
それは、お客さんに対して失礼だと。
確かに舞台に立つものが不本意な気持ちを抱いたまま演じてしまうのでは、お客さんだって楽しいとは思わないだろう。
どんなに上手な演技だろうが歌だろうが、気持ちが入っていなければ、値打ちは発生しない。
そして今日のエピソードの最後で、朝ドラ御用達のお馴染みの女優富田望生が登場。
彼女は役柄に合わせて体重の増減を10キロ単位で容赦なく行うんだそう。
今日の演技を見ていて感じたのは福島弁がとても上手だったこと。
はるか昔、福島県出身の会社の同僚がたくさんいて、あの時の方言が懐かしく感じた。
ちなみになつぞらの時は今より10キロ以上は太っていたと思う。
どうやらこの物語のこれからに大切な役どころで登場しそうな雰囲気。
それぞれが大切に思うこと
梅吉は毎日酒を飲む以外にやる事はなくなってしまったと語っていた。
そして孤独なことを持て余している。
スズ子は忙しく舞台を勤めあげるが父親には彼女がお金を渡しているようだね。
梅吉が六郎からの手紙に懐かしさを爆発させていた。
早く会いたい。
六郎なら酒の相手もしてくれる。
戦地から届いた六郎の手紙はのことで埋め尽くされていた。
六郎にとって大切なのは、家族と同様かそれ以上に亀のこと。
さていよいよ太平洋戦争の開戦は間近になった。
物語だけでなくこの当時の日本の暗黒時代がすぐそこに。