ブギウギが描く物語は、今が1番過酷な運命を描きつつあると思う。
スズ子にはこれからさらに試練が待ち受けているが、この頃の日本はちょうど戦争末期。
物語の冒頭で語られたのは広島の原爆について。
調べればいくらでも検索可能だが、一般市民を巻き添えにした無差別大量殺戮の点で歴史にしっかりと残る事実。
この直後に長崎にも原爆が落とされ、1週間経たないうちに戦争終結となる。
日本は一般的には無条件降伏したと言われるが、本当はポツダム宣言を受諾すると宣言していて意味は若干違うというのが専門家の意見らしい。
ただし、実情は無条件降伏そのものと言う気がするが。
描かれた物語の内容では、スズ子とりつ子2人の歌い手のステージ上の出来事が詳しく描かれていた。
茨田りつ子はブログで何度も紹介した通り淡谷のり子がモデル。
淡谷のエピソードがそっくり採用された内容の物語になっていた。
当時、淡谷のり子は自由に歌を歌えるような状況ではなかった。
彼女の派手な服装もそうだが、暗い曲調の歌は戦争に立ち向かう日本には不適とされていたのだ。
それでも世の中の人たちは淡谷のり子ののブルース作品を愛でていた。
淡谷が特攻兵たちに促したリクエストに返ってきた答えは、
別れのブルース
彼女の代名詞とも言うべき名曲。
かたやスズ子は昨日出会った富山の親子連れの母親に問いかけていた。
今日のコンサートにはぜひ私の歌を聴きに来て欲しい。
最初は気のない素振りだった母親だが、娘を伴って会場まで足を運んできた。
披露された曲が
大空の弟
ほんの数年前に服部良一の自宅で発見された楽譜をもとに、この番組用に新しく詩を書き足したもの。
物語は、当時の日本を代表する2人の歌手がどのような活動をしていたかが詳しく描かれる。
戦争末期の日本
広島の原爆投下は昭和20年8月7日。
おそらく物語のこの状況は翌日のことと思われる。
さらに8月9日は長崎への原爆投下。
よく知られる終戦記念日が8月15日なので時間の経過がたやすく想像できる。
スズ子もりつ子も慰問活動に忙しく全国を飛び回っていたようだ。
スズ子は富山でりつ子は九州になるんだと思う。
この頃の日本には戦況を盛り返すだけの力は残されてはいなかった。
歴史を振り返ったときに終戦に至る1連の流れを導いたのは、思うに昭和天皇なんだろうと考えている。
彼はこのまま戦争継続を続けることが日本民族を滅ぼすことだと受け止めていた。
どんなに厳しい条件であろうとも受け入れて、国が滅ばないように手を打つ必要があると。
私が知っているところでは、その時昭和天皇は自らの命と引き換えに国民を守ろうと当時のGHQのマッカーサーのところまで赴いて、直談判をしたのは有名な話。
私も何度か自分のブログで過去に紹介した記憶がある。
かつて私自身が自分で調べ上げたブログ。
時間のある方は参考にされたい。
スズ子の決意と戦争で家族を失った者たちの思い
この当時の日本では出征して戦死した家族を持つ者もかなりの数だったと思う。
スズ子は弟の六郎を失っている。
そして物語に出てきた親子連れ。
母親は学校の先生だった夫を戦争で亡くしたと語っていたね。
その彼女が夫を失ったことに対して、自分自身を奮い立たせるかのように
悲しくは無い
夫を誇りに思う と振り絞るように語っていた。
残された者たちがどんな思いで日々暮らしていたかがよくわかる。
辛く苦しい思いを死に物狂いで払拭しようとひたすら耐えていた。
茨田りつ子の舞台
淡谷のり子が特攻兵たちの前で歌を歌ったエピソードは、本人の話すエピソードを映像で見たことがある。
特攻兵たちは命令があれば、コンサートの途中でも退席して、出撃しなければならない。
一旦出撃すれば帰ってこれる可能性は無い。
物語の中ではそのことを知った茨田りつ子がステージを駆け降りて、幕の裏で泣き崩れるシーンが描かれていた。
これもモデルの淡谷のエピソードそのままだろうと推察する。
この時代は国民全員が犠牲者みたいなもの。
生きることの値打ちがここまで踏みにじられた時代は歴史的に見てもそうたくさんはなかったはず。
再びの大空の弟
スズ子が母親に声をかけたのはどうしても聞いてほしい歌があったから。
大空の弟
それは自分自身の弟六郎を戦争で失った姉の切ない思いを歌い上げたもの。
作曲家、服部良一が歌手笠置シズ子の戦死した弟のために自ら作詞作曲したものと伝わる。
ただし、当時の音源は残されていない。
服部良一の自宅を整理したときに古い楽譜が見つかったそうな。
それをお孫さんの服部隆之がブギウギ用に編曲したと聞いた。
ブギウギのオリジナル曲といってもいいのかもしれない。
今週のエピソードはここで終わり。
来週からいよいよ物語は刷新する。
既に戦争は終結したものと思われるが、復興するのも大変だった時代。
スズ子は愛助の元で長く暮らせたわけではない。
おそらくは子供ができるエピソードなども描かれるものと思われる。
いよいよ目が離せなくなってきたブギウギ。